介護老人保健施設における在宅復帰

2018.12.21 [介護]

株式会社メディヴァ
コンサルタント 早野 惠介

Ⅰ はじめに

弊社メディヴァは医療法人の経営支援を行うにあたり、病院に併設される介護老人保健施設(以下、老健)などの経営改善にも取り組んでいます。今回は私の経験をもとに老健の在宅復帰についてご紹介します。

ある支援先の医療機関では、病院と老健の関係性が深く、全体的に重症度、医療・看護必要度の高い患者が多くいらっしゃるところでした。病院も老健もベッドはほぼ満床状態で、稼働率が高い状態を維持しておりました。また、老健の入所者は看護・介護の職員負担軽減の為、軽介護者を受け入れ、重介護者は病院へ移っていただくようにしていました。

 

Ⅱ 平成30年度 介護報酬改定

今年の介護報酬改定の老健に関する項目では、算定方法が大きく変わりました。下記表の基準をクリアするごとに基本報酬と加算が合わさり、単位数が増すようになっています。大項目としては、超在宅復帰型・在宅復帰型・加算型・基本型・その他型の5項目に分かれ、各項目には指標点数をクリアし、且つ、項目ごとの要件を満たす必要があります。

指標は平成29年度までの在宅強化型基本サービス費の要件をベースに人員配置などを追加し点数化したものです。

 昨年までは在宅復帰率をクリアせねばならず、仮に在宅復帰率をクリアしても、その割合を保つ為、稼働率が下がり結果的に減収になる施設も多くありました。今年からは在宅復帰率以外の指標点数と要件を満たしても「在宅復帰・在宅療養支援加算」(以降、在宅復帰加算とします。)を算定できるようになっています。

 

Ⅲ 支援先への提案

支援先における提案前の指標は35点「従来型」で、法人として重症者を受け入れる体制があり、紹介先の医療機関が主な営業先でした。

そこで弊社からは、重介護者の割合を上げ、それまでに関係のあった医療機関以外にも、営業に行けるよう支援相談員の増員を提案しました。

具体的には、①現状の営業先を紹介数ごとに分類し、紹介件数の少ない医療機関へも受け入れ可能枠拡大の旨を伝え、連携強化を行うこと、②重介護者のレスパイトでの入所と家庭を両立と言った提案をしました。

特に後者はご家族、ご本人共に「自宅復帰を希望しているが、今後ずっと介護を強いられるのはつらい。」といったニーズがあることがわかり提案しました。

この施策の成功により、在宅復帰率に関係なく「基本型」から「加算型」へ変わることができます。 

「加算型」では、100床の場合、在宅復帰加算34単位/日/人の増加となるため、約1,000万円/年の増収になります。

 

Ⅳ まとめ

以上のことから、今年の介護報酬改定により「基本型」に分類していた老健においても、在宅復帰加算が算定可能になりやすくなったと思われます。

もちろん「超在宅復帰型」や「在宅強化型」の指標をクリアするためには、在宅復帰率が必要になりますので、従来の厳しさが全くなくなったとは言えません。一方、今回の支援先では重介護者が多く受け入れられる体制であったからよいものの、在宅復帰向きにも、重介護者向きにも舵をとれない場合は、「その他型」になる可能性が非常に高く、減収になった施設も多くあると思います。

その意味でも老健における今年の介護報酬改定は、大きなターニングポイントになったのではないでしょうか。

 


早野 惠介 Keisuke HAYANO
千葉県出身。大東文化大学法学部法律学科卒業。全国に展開する医療法人にて、約5年間介護老人保健施設の保険請求事務、総務、経理などバックオフィスを中心に経験。新規立ち上げ及び運営にも携わる。その後、社会における医療機関の重要性を考え、「患者視点の医療改革」という理念に共感し、2018年2月メディヴァへ参画。