医療機関における業務改善プロジェクトの進め方 業務の視覚化と改善の見える化

2018.06.18 [病院/診療所]

コンサルティング事業部
コンサルタント 加藤由紀子

株式会社メディヴァは、クライアントである医療機関・健診センターなどの財務分析や組織の分析、業務効率の分析など様々な分析と、それに従った施策提案をしています。今回は弊社が、業務改善に関わる分析と施策の提案、その実行のための支援をどのように行っているかをご紹介します。

 

病院業務の全体像を可視化する

業務改善の分析については、まず当該業務の全体像をその業務の担当でない人でも共有できる形に視覚化することを考えます。特に病院のメイン業務以外の分野、たとえば健診や給食といった部門の具体的な業務内容は、経営陣(院長、事務長等)が把握しきれていないことが多く、これらの業務の全体像を関係者以外でも理解できる形で提示することはとても重要だと考えています。

その方法の一つとして業務フローの視覚化を行います。具体的には業務時間を記録し、当該業務の課題に従って、患者別、スタッフ別、検査室別などの切り口で時間軸に従って業務をチャート化するという作業です。

この作業には、調査設計のためヒアリングを含めた事前調査が必要です。だれがどのように時間記録を行うか、記録は紙で行うか、デバイスを使うかなどを決めるためです。健診の現場であれば、スタッフの協力を得て検査項目チェック表などに検査を実施した時間を記録する等の対応も可能です。しかし、病院給食等の現場では、現場スタッフが作成しているタイムスケジュールを基に、どのポイントを押さえるかを検討し、場合によっては、弊社のコンサルが記録担当として現場にはりつくこともあります。

このヒアリングを含めた事前調査は、業務フロー視覚化の成功の鍵を握っていると考えています。私たちが現場の業務について学ぶ姿勢をもち、現場スタッフの方々に調査の意図を理解してもらい、業務に無理の生じない調査設計を行うことで、調査から得られるデータの精度は高くなると考えるからです。

 

可視化したデータから課題を分析する

次に調査により可視化したデータから、業務課題を分析していきます。

1つの例として、健診センターの場合を考えます。一般的に健診センターの業務フローは、エコー検査や内視鏡検査のように、受診者1人あたりにかかる検査時間が長く、かつ、時間のばらつきが大きい検査がボトルネックになり得るので、検査時間を均質化・短時間化することが大切だと言われています。

しかし、業務時間を可視化することで、それとは別の、今まで認識されていなかった問題が明らかになるケースも多々あります。例えば、技師が検査室にはりつく時間帯が適切ではなく、検査の回し方に無理が生じている。検査時間そのものより、検査前の待ち時間が長く、その原因が誘導の仕方にある。受付の混雑の影響で、オプション検査を確認する時間が確保できていない等です。

業務を可視化することで、関係者の思い込みに基づく仮説にひっぱられることなく問題を把握し、解決策を検討することが可能となります。

 

実行のための支援

今ご紹介した業務分析方法や、そこから導きだされる問題、それに対する解決策は、一見するとシンプルです。しかし担当部署だけで完結できることは意外に少なく、ディビジョンや当該施設全体で取り組むべきものとなります。

そのため分析により導き出された業務改善施策を実行するには、組織に自走してもらえる「しかけ」作りも重要だと考えています。ミッション別の分科会を編成し、マネジメントのラインとは別に課題解決のためのチームを立ち上げたり、経営企画室などに施策管理の役割を担ってもらうなど、やり方は施設・課題・解決策ごとに様々です。

このようにして課題解決に取り組む組織体制を構築しつつ、進捗管理の仕組みをつくり、組織運営のファシリテーションをしていくのが次のステップです。

具体的にはKPI(重要業績評価指標)を設定し、そのKPIを管理することで、課題解決がどの程度進んでいるのか、方向性にずれがないのかを定点観測し、必要に応じて軌道修正を行っていきます。KPIの項目設定は予算管理だけでなく、問題解決のための組織の取り組みの全体感を見える化できるものが良いと考えています。

前出の健診センターでは受診者の滞在時間、オプションの獲得数、顧客満足度、要所見者の本院への送患人数をKPIとして設定し、分科会のリーダーが数値管理を行っています。

現在も、医療機関や健診センターにおける業務改善のプロジェクトが並行して稼働中です。期末には、現場で業務改善に取り組むスタッフの方々と成果と喜びを分かち合えるよう、日々の業務に邁進しています。

関連ページ:
病院経営・再生支援サービス
健診センターコンサルティング
株式会社メディヴァの経営・運営支援実績

関連記事:
病院・診療所経営の教科書[番外編]


執筆者: 加藤 由紀子│Yukiko KATO
株式会社メディヴァ シニアコンサルタント。埼玉県出身。日本女子大学文学部卒業後、鐘紡(株)入社。スポーツアパレルFILAのマーチャンダイザー(ブランドマネージャー)としてフィラ事業を8年で7億から90億に伸長させる一翼を担う。その後、コンサルティング会社にて商品開発に従事。 メディヴァ参画後は、クリニックの新規開業、顧問、健診センターの運営支援等を多数手がける。修士(社会福祉)。社会福祉士。