第21回 医療機関と介護施設との連携の進め方 

2012.07.03

コンサルタント
柿木 哲也

 

今年4月に診療報酬改定が実施されました。今回の診療報酬改定には、4つのキーワード、「機能分化と連携」「医療従事者の負担軽減」「救急、がん、認知症などの重点分野への評価拡充」「患者視点に立った医療の実現」が盛り込まれました。

中でも「機能分化と連携」は、今年2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」の中に、高齢化が一段と進む2025年の医療・介護サービスのあるべき姿を実現する考え方として、1番最初に挙げられている重要な項目です。

上記のとおり連携が重点分野であるため、今回の診療報酬改定では連携に関する項目の点数が強化され、また新設された項目もありました。その結果、医療機関では他施設との連携を進めることが重要であると認識し、医療機関、介護施設との連携を積極的に進めている施設が増えています。

連携を進める医療機関にとって、医療機関同士の連携(病病連携、病診連携、診診連携)は、同じ医療従事者同士(ここでは医師同士を想定)が行うこともあり、施設や立場が違えど、連携するにあたって考えていること(紹介先の医師が求めている患者情報は何なのか、紹介元の医師は紹介先からの逆紹介を期待している など)は、互いにある程度は理解できます。しかし、医療機関と介護施設との連携となると、医療機関同士とは違って、中々ことが進まないのが現状です。

先日、私は、居宅介護支援事業所のケアマネージャーと地域包括支援センターの社会福祉士の方と、今回の診療報酬&介護報酬のW改定後の医療と介護との連携状況について話を伺う機会がありました。

話の中で強く印象に残ったのは、「介護サービス従事者の状況を理解している医療機関の方(医療従事者)の方はあまり多くない」、「もっと私たち介護サービス従事者の状況を知ってもらいたい」という言葉でした。今回話を伺ったのは、ある特定の介護サービス従事者でしたが、医療と介護との連携の難しさは、多くの医療機関が抱えている悩みだと思います。そこで今回は、医療機関の方に向けた、介護との連携を深めるためのTipsを3つ提示させていただきます。

 

医療と介護の連携を深める3つのTips

 

① 地域の介護サービス状況を知る(相手を知る)

まずは、地域の介護サービス従事者が何に困っているのか、医療についてどう思っているか など介護サービス従事者の考え、思いを理解する必要があります。彼らの現状を理解することで、医療機関が求めている介護との連携(退院患者の受入、在宅患者の支援など)がスムーズに行くようになると思います。

② 地域の医療状況を知ってもらう(自分を知ってもらう)

介護サービス従事者は、医療機関の方が思っている以上に、医療行為、地域の医療状況について知りたがっています。研修会、交流会などを通して、医療機関の方が医療行為、地域の医療状況を教示することは、介護サービス従事者の満足度を高め、深い連携に繋がると思います。

③ 「介護を知る」「医療を知ってもらう」を継続する(互いを深く理解する)

継続して地域の介護状況を知る、そして医療状況を知ってもらうことが重要です。お互いを知る機会が積み重なることで理解が深まります。医療と介護とを交互に症例検討会を行うなど、定期的に互いの理解を深める仕組み(出会いの場、学びの場)を作ると良いでしょう。

 

以上の3つが、私より提示させていただく「医療と介護との連携を深める考え方」です。皆さまが、医療と介護との連携を進めて行く上でのアイデアづくりの一助となれば幸いです。

 


執筆者:柿木哲也
東京都出身。横浜市立大学商学部卒業。富士重工業(株)にてスバル車の商品企 画、国内及び海外販売を担当する。その後、米コンサルティング会社ベリングポ イントの戦略・業務グループにて、各種プロジェクトに従事。家族が医療機関に勤務していたことで、医療業界に興味を持ち、特養でボランティアを行う。ボランティアを通して、実際に医療業界に身を投じたいと思い、(株)メディヴァに参画した。患者様の健康面(医療に関すること)だけでなく、生活面(金融面な ど)も含めた総合的な支援を目指している。