メディヴァコンサルブログ

医療機関が考えるべきリスク管理

2011.03.25

 3月11日(金)の東北関東大震災は、東北関東地方に甚大な被害をもたらし、
現時点でもその影響は把握しきれない状況が続いています。今回の震災では、地
震そのものの被害もさることながら、数回にわたった津波の被害、またその後の
原子力発電所の問題など、波及的な影響が被害をより大きくしていることがわか
りつつあります。

 こうした状況下において、私自身、いつも以上に医療機関を経営することのリ
スクについて考えを巡らしています。例えば、ほんの1年と少し前は、新型イン
フルエンザが世界中に蔓延し、日本でもシーズン前の夏から予防接種の問題、マ
スクの売り切れ、医療機関閉鎖・休止の可能性などに追われていたことを思い出
します。また、個人的にもここ1,2年で、色々な医療機関の危機的な状況を目に
しており、リスク管理の重要性を再認識しています。
            
 またリスクは、怖がってばかりいても何の解決にもならないことが多いとも
思っています。あり得るリスクと正面から向き合い、前向きで積極的な対策を打
つことが、最も有効なリスク管理であると思っています。その意味での、前向き
なリスク管理の事例を、医療ではなく運営面についてだけですが、いくつか述べ
させていただきます。

1.人事管理(スタッフ大量退職予防、品質管理)

 医療機関にとって、スタッフが一度に大量に退職することや、レベルが落ちて
医療の質が下がることは、とても重大なリスクの一つになり得ます。これを予防
するためには、常日頃からスタッフ一人一人と向き合うことは解の一つになりま
すがなかなか難しいです。そこで、より効果的なのは、常に新しく前向きな目標
を設定し、それに向かって皆が解決に望むという姿勢を維持することが、一体感
を作るための一つのやり方であると考えています。単に日々の患者さんを安心・
安全に診ようではなく、「地域で一番分娩をする施設にしよう」「退院ができる
療養型病院を目指そう」といった前向きな課題を設定することは、攻めの姿勢の
リスク管理として大事だと思っています。

2.風評被害対策

 医療機関は、その運営の中身がわかりにくこともあって、風評被害にさらされ
やすい業種だと考えています。また、その風評は根も葉もないものだけでなく、
院内のスタッフによるちょっとした噂話に尾ひれ背びれがついたものであったり
します。これらの風評被害を予防するのは、まずは院内における経営とスタッフ
の信頼関係の醸成であり、そのためには厳しい情報やまずい情報をきちんとオー
プンに開示する姿勢ではないかと思っています。経営者が良いことばかり話しを
しても、現場との間に乖離があれば、そこが不満や不安の根っことなって風評被
害につながります。まずは、経営者が勇気をもって、院内への情報開示に努める
ことが大事ではないかと思っています。またこれは、院外や患者さんへの対応に
ついても同様に考えています。

3.コンプライアンス

 医療機関は、意図せざるして、法令違反をしてしまっている事があります。例
えば、診療報酬の請求について、施設基準の考え方を間違えていたり、微妙だと
思いながらも確認をせずに進めることで、結果として過誤請求になってしまうよ
うな場合です。これらは、スタッフ一人一人に意識を高く持ってもらうことは当
然なのですが、経営的にも意識して欲しいことがあります。それは、一人一人の
スタッフが気になることや間違っていると考えたことを、経営陣に伝えることが
できるような雰囲気作りです。経営者にとって、耳の痛い情報は聞きたくない情
報でもあるため、つい聞き流したり、現場任せにしたりすることが多いです。し
かし、一番大事なのは、現場のちょっとした気づきを経営者が敏感に感じ取っ
て、本当にまずいことなのか大丈夫なことなのかを判断することが大事です。ま
ずい情報ほど、経営者が足を止めて話しを聞く姿勢を示してもらえたらと思って
います。

これらは、リスク管理の一つの事例に過ぎません。
しかしながら、お伝えしたいのは、前向きなリスク管理こそがもっとも効果的な
リスク予防ではないかと考えていることです。