第14回 「スタッフの妊娠・出産時の対応」

2011.02.28

                 コンサルタント/社会保険労務士 津田有彦

 

「スタッフが妊娠したのですが、どう対応すればいいでしょうか?」という相談を受けることが、最近増えてきているように感じます。
その際は「出産後職場復帰を希望しているのであれば、出来るだけ希望に沿って前向きに検討するようにしましょう。」とお答えするようにしています。

 

医療機関においては、戦力の多くは女性であり、女性を活用することが重要であることは言うまでもありません。一番人数が多く、戦力の中心となるのは、20~30代の結婚出産適齢期の女性ですが、出産や育児期の対応は規模の小さな医療機関ほど難しい課題となっています。

 

出産を期に退職する女性の割合は約70%と言われており、その割合は近年それほど変わっていないようですが、今後はおそらく減っていくものと予想しています。
その理由は、いったん退職すると再就職が難しくなることと、以下のような出産育児期の手厚い金銭的な公的補助です。
1. 妊娠検査費用の補助(市町村負担)
2. 出産時の出産育児一時金(健康保険負担。42万円。)
3. 産前6週、産後8週の出産手当金(健康保険負担。給与の3分の2。国保にはない。)
4. 最長1歳6ヶ月までの育児休業基本給付金(雇用保険負担。給与の2分の1)
このうち3、4番については、働き続けることで支給される補助です。

 

勤務継続を希望する女性が増えてくると、経営側としてもきちんとした出産・育児対応をして業務に慣れた良質の人材を継続して確保する方が、中長期的に得策であると思います。

いつ自分が出産当事者になるかわからない女性中心の職場では、女性を大切にする雰囲気、評判は重視する必要がある一方で、妊娠中、育児中ならではの問題も多くあります。

たとえば、
1. 出産~復帰までの代替要員の確保
2. 復帰時の人件費重複
3. 夜勤ができない、2交代制で短時間勤務が難しい
4. 妊娠検査、つわり、子供の病気時の遅刻早退、急に休まれる

などです。

 

解決のためには、パートや派遣の活用、ワークシェアリング、院内託児所設置やシッターサービス、病時保育の利用などが主に考えられますが、医療機関の規模や職種、勤務形態、経営状況によってどこまで可能なのかは違ってきます。

復帰当初は短時間勤務だが、出来るだけ早くフルタイムにして欲しいというのは、経営側からの希望としては共通のものと思います。保育所の延長保育を認めてもらうことで解決するのが一般的ですが、その時期の目安を定めるというのも解決の一例です。

本人と経営側で要望のすり合わせをして、どこかで線を引くことになりますが、その際に重要なことは、周りのスタッフを含めて話し合った上で合意をすることだと思います。

周りのスタッフは理解し協力して支え合う、経営側は金銭的な負担と制度・雰囲気作りをする、本人は周囲に負担をかけていることへの配慮、仕事への責任感を持って頑張る、それらが調和することで、一体感を持った働き易い職場が形成されると思います。

 

妊娠が分かったら共に喜び、どう乗り越えて働き続けるのかを共に考える、そんな職場が増えることを、育児世代である私も願って止みません。