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第8回 医療法・健康保険法等の改正について

2006.06.07

現在、国会で審議中の医療法・健康保険法等の改正ですが、今後の医療界を見据える上で、いくつかの重要なテーマがあるようですので、私なりのポイントをまとめてみたいと思います。最終的には国会の審議を経て、修正等があると思いますので、確定的なことではないことはご了承ください。
1.社会医療法人の新設
公的性格の強い医療法人として、社会医療法人が新設されます。都道府県の認定を受けることで設立される法人ですが、今後、可能となる収益業務の拡大や税率の減免などが見込まれています。また、地域住民に対する経営情報開示等での公的性を維持することにより、自治体が指定管理者として業務委託をする可能性も高いことが予想されます。これにより、長年大きな赤字を抱えて経営が不安定であった自治体病院の経営が、大きく変わるかもしれません。(良い意味も悪い意味もあります)
2.医療安全対策の徹底
国、都道府県、保健所設置市及び特別区では、医療安全の確保に向けて、情報提供や意識啓発を行うことが求められます。また、病院、診療所、助産所の管理者は、医療安全確保のための指針策定や研修の実施等の具体的なアクションを求められています。また、適切な医療機関選択の目的とあわせて、医療機関の情報が積極的に収集・公開されることも求められており、ますます安全への意識が重要となってきています。
3.有床診療所の病床規制(平成19年1月1日より)
有床診療所の病床も、病院と同じように都道府県知事の許認可事項になります。既に地域医療計画上で病床が過剰になってしまっている地域も多く、今後は、今までのようには有床診療所を開設することができなくなります。この結果、有床診療所を有効に活用してきた、産科(分娩)、婦人科(中絶)、内科(在宅)においては、診療所の開設が困難になることが予想されます。特に、分娩を担う産科医院の新設が難しくなってしまうと、産科医院が不足するエリアが発生してしまう恐れも危惧されます。
4.健康保険制度の変更
70歳以上の方は、原則2割負担になります。更に一定以上の報酬があると3割負担になります。被扶養者も同等です。また保険の財源として、前期高齢者納付金と後期高齢者支援金が定められ、おそらくは実質として社会保険負担の増額になります。一般の方にとっては、ますます健康に関する費用があがることとなり、中には必要な医療でさえも積極的に避けるかたも出てきてしまうかもしれません。
5.特定健康診査、特定保健指導の実施
医療費の適正化に向けて生活習慣病予防や早期発見に向けての、特定健康診査と特定保健指導が新たに整備されます。内容については、法律制定後に指針が出るようですが、健康保険においては40歳以上の加入者への実施が義務付けられるようです。おそらくは、メタボリックシンドロームを念頭に、内臓脂肪やウエストのサイズ、各種血液検査等が設定されることになると思われますが、健康診断が大きく変わる可能性があります。既に始まっている、乳がん健診での触診に代わるマンモグラフィー検査や胃がん健診の胃透視に代わる内視鏡検査など、より精度が高いといわれている健康診断が求められることになりそうです。
6.介護療養型医療施設の廃止
平成24年3月31日をもって、介護療養型医療施設は廃止となります。暫定措置として医療療養と介護療養を混合して利用して良いという話もあるようですが、法案上は廃止は明記されています。代わりに、老人保健施設や有料老人ホームへの転換を促したり、在宅を支える医療機関(在宅療養支援診療所)の設立などの制度補完はされているようですが、行き場のない入院患者が増える恐れもあります。現実に、我々がお手伝いしている療養型病院の病棟閉鎖でも、病棟を出て在宅に帰れる患者さんは、1割にも満たない状況です。今後、一部の患者さんのたらい回しが始まってしまうのではないかと恐れています。