海外医療の現場から メディヴァ海外事業部ブログ

イラン

イランの乳がん検診人材育成プロジェクトのご報告

2017年01月05日(木)


新年明けましておめでとうございます。2017年も皆様にとって充実した一年となりますよう心より祈願申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

今回は、イラン・テヘランで2016年12月に開催した乳がん検診講習会についてご紹介させていただきます。なお、本事業は、平成28年度国際展開推進事業として国際医療研究センター様より「イランにおける乳がん検診人材育成プロジェクト」として委託を受けて実施したものです。

 

さて、皆さんは、「イラン」というとどういったイメージをお持ちでしょうか?国際情勢や中東の国ということから、あまり安心できるイメージをお持ちでない方も多いかもしれません。我々も、イランは初めて仕事をする国でしたので、実際に渡航するまでどういった国なのか、多少の不安もありました。しかし、昨年9月のイラン人医師の日本招聘、その後の現地渡航を経て、改めて「行ってみないとわからない」ということを認識させられました。

まず、イランという国ですが、正式名称はご存知の通りイラン・イスラム共和国(以下、「イラン」)といいます。中東地域最大の人口(78百万人/2014年)を有しており、一人当たりGDPも5,165ドル(2014年IMF推計)、GDP成長率も9.6%(2014年IMF推計)と高くなっています。同国では、乳がんは女性のがん全体の24.5%を占め、女性のがんで最も多くなっています。しかし、イランではまだ公的な乳がん検診は導入されておらず、一部の意識の高い層が自費で乳がん検診を受けるに留まっています。そうした現状もあり、他の先進諸国では、罹患率に比べて死亡率が低い割合に抑えられている一方で、同国では、罹患率に比べて死亡率が比較的高くなっています。こうした中で、公的な乳がん検診の導入を検討している段階にあり、今回その実現の一つの契機となるよう願い、講習会を実施しました。

 

 今回の講習会は、3日間にわたり行われ、1日目はセミナー、2日目・3日目はワークショップを実施しました。開催概要は以下の通りです。

 

期間:2016年12月7日(水)~9日(金)

場所:イラン・イスラム共和国 テヘラン市内 カンファレンスホール ほか

内容:

1日目 イラン・ロシア乳がんセミナー(放射線科医など約100名)

2日目 読影・撮影ワークショップ(放射線科医・技師 各約20名) 

3日目 読影・撮影ワークショップ(放射線科医・技師 各約20名)

 

1日目は、放射線科医や乳がん診療に関係する医療者・病院関係者などを中心に100名程度参加し、イラン側・日本側から各国の乳がん検診の現状などが報告されました。2日目・3日目のワークショップは、医師・技師のグループに分かれて、医師に対しては立川病院服部裕昭先生が開発されたiPadの読影教材を用いた読影講習、技師に対しては、マンモグラフィの実機を用いた撮影指導、参加技師が撮影したマンモ画像の評価研修などを行いました。

医師向けのiPad講習は、教材が日本のガイドラインをベースにしているという点で、普段BI-RADSを使用されているイランの先生方は最初少し戸惑われていましたが、手軽に操作でき、豊富に症例がまとめられている教材に関心されており、BI-RADSに対応した教材への要望が多く聞かれました。技師向けの講習は、実機でのトレーニングと自ら撮影したフイルムに対するフィードバックを通して、具体的な改善点が認識できたと大変好評でした。

今回の開催にあたりましてご協力いただきました立川病院 服部裕昭先生、イランの医師・現地のスタッフの皆様には、心より感謝申し上げます。今回の経験を活かして、今後も海外で乳がん検診の人材育成を後押しできるよう、プログラムの構築や教材開発の支援など力を入れていきたいと考えております。

今回のような研修を通して、現地医療者に日本の医療機器を使い慣れてもらうことは、海外で日本の医療機器を広めるという点でも非常に効果的です。弊社では、日本の医療機関の先生方や現地医療機関と協力して、こうした研修のアレンジを今後も積極的に行っていきたいと考えております。研修を企画したいけれど、なかなか単独では難しいという医療機器メーカーのご支援などできればと考えておりますので、ぜひお問い合わせいただければと思います。

 

iPad教材を用いての講習の様子

 

自身で撮影したマンモグラフィの評価を行う現地技師

 

テヘランの公園(テヘランは緑豊かで過ごしやすい街でした)

 

テヘランの市場には様々なものが…