海外医療の現場から メディヴァ海外事業部ブログ

タイでの学生生活を振り返って

2017年10月04日(水)


皆さまはじめまして。今年(2017年)9月にメディヴァに入社いたしました小池依於奈と申します。新入社員ということで、今回は私の自己紹介をかねて今年8月まで1年間タイ、マヒドン大学で公衆衛生を学んだ経験を紹介させていただきたいと思います。
マヒドン大学は、タイで最も古い教育機関の一つであり、大学ランキングではタイで1位、アジアでは44位とタイを代表する医療系総合大学です。タイ全土に4つのキャンパスがありますが、私が滞在していたのはバンコクから車で40分ほど走ったところにあるサラヤキャンパスです。キャンパスは東京ドーム約45個分という広大な敷地を持ち、キャンパス内の移動は、自転車やミニバスを使う必要があるほどです。敷地内には川が流れ、緑がたくさんあり、巨大トカゲやリスなどがのびのびと生活している自然豊かなところです。


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↑キャンパス名物の巨大トカゲ
暑さでばてて、動けなくなっているところを卵で川まで誘導中

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        キャンパス内の様子

 

私が所属していたのは、ASEAN保健開発研究所のMaster of Primary Health Care Management (MPHM)という1年間の修士課程です。公衆衛生の現場で行政職として働く人材育成というのがコンセプトで、前期は講義とフィールドワークを通して、疫学、生物統計学、環境衛生政策、社会学、プライマリーケアなど公衆衛生を幅広く学びます。朝9時から夕方4時までぎっしり講義が入っており、課題も多く出ます。後期は、それぞれ修士論文に集中し、半年でデータ収集から学会発表までを行います。修士を1年間で完成させることにコースの主眼が置かれているため、目まぐるしく日々が過ぎました。クラスメートは主にアジアからの医師、看護師、保健師などの医療従事者で、授業は全て英語で行われます。
 修士論文で私は、タイ中央部に位置するサムットソンクラン県のとある村で乳がん自己検診についての調査をしました。村では朝に畑仕事を終わらせた大人たちが、昼間から甘いものを食べつつ賭け事を楽しむなど、幸せそうに生活していました。乳がん自己検診について聞きたいと言うと、公の場で乳房を露わにし、大丈夫かどうか触ってくれとお願いされ、その場で触診をすることなどもありました。


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          村の様子 田畑以外なにもありません

タイをはじめとする東南アジアでは、生活習慣の変化、平均寿命の伸長、生涯出生数の減少などにより、乳がんの罹患率が上昇しています。しかし、マンモグラフィーなどの乳がん検診は、補助金制度や人材育成、医療機関の整備が十分でなく、まだまだ一般的ではありません。多くの人が進行した状態で乳がんと診断されます。乳がん検診が普及している先進国に対して、検診にかける十分な国家予算がないタイでは、罹患率の上昇とともに年々乳がん死亡率も上昇しています。そのため、リスクも費用もかからない乳がん自己検診の普及に力を入れ、乳がん啓発を行っています。乳がんは、自分で発見できる唯一のがんで、月に一回自分で乳房を視診・触診することで、乳がんの早期発見につながるだけでなく、ブレストアウェアネス(日常から自分の乳房へ関心を持ち、自分の乳房の状態を知ることで乳がん、その他疾病から自分を守ろうという意識)にもつながると言われています。

村ではヘルスプロモーティング病院(旧プライマリーケアユニット)と呼ばれる診療所が第一次医療を担っており、村の保健室的な役割をしています。また、村人が健康ボランティアとして無償(現在は月に2,000円程度の交通費がでる)で健康指導から寝たきり高齢者のケア・見回りなどを行っており、医療従事者と村人の橋渡し役として活躍しています。健康ボランティアの存在によって、村人とヘルスプロモーティング病院の繋がりは強く、乳がんを例にとっても、多くの村人がヘルスプロモーティング病院で開かれる乳がん自己検診の勉強会に参加したり、健康ボランティアが村人の家を一軒一軒周って、自己検診方法の指導を行うなど、村全体の健康に対する集約力は高いように思われました。タイでは、日本が失いつつある地域の「絆」というものが脈絡と引き継がれており、限られた資源を有効活用しつつ、地域住民が主体的に健康活動に取り組んでいます。日本の優れた医療保険制度や医療技術、ホスピタリティは誇れるものではありますが、他国の医療福祉のあり方からも学ぶべきものが多くあると実感した一年でした。

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↑健康ボランティア研修会の様子  ↑村人はとても仲良く、なにかと集まり
                  おいしいものを一緒に楽しむのが大好き

 

このような海外での経験を活かしたいと思い、この度メディヴァに入社いたしました。社員としては、まだまだ右も左もわからない未熟者ですが、日本の優れた医療機器、医療技術を現地のニーズに合わせた新しい形として広めたり、対象国の持つ強みや魅力的な面を国内の医療現場に取り入れる仕事がしたいと思っています。精一杯努力してまいりますので、どうぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


 

日本の高齢者ケアの展示会(ベトナム)

2017年09月15日(金)


2017年8月にベトナムのホーチミンで開催された、JETRO主催の「ジャパン高齢者ケア産業ショーケース」にメディヴァ、医療法人社団プラタナス、亀田グループ、東急不動産の共同事業として出展しました。

 

この企画は、同地にて行われたAPEC関連のイベント「Investing in Healthy and Active Aging for Sustainable Growth (持続可能な成長のための健康長寿社会への投資)」のサイドイベントにあたるものです。

ここでは、高齢化が他国に先行して進展している日本の高齢者ケア関連の製品・サービスが紹介され、

1.高齢者医療・リハビリテーション

2.フレイル予防・機能回復ケア

3.人材育成

4.地域包括支援システム

というテーマで、日本の事業者が来場者にそれぞれのサービスを紹介しました。

 

私達は4.地域包括支援システムのモデルにて、自立支援を目指した通所介護「ぽじえじ」、医療法人社団プラタナスの在宅診療や家庭医の仕組み、亀田グループの各種介護事業や学校、東急不動産の高齢者施設を組み合わせ、地域包括ケアシステムのベストプラクティスとして、またそれらの仕組みを海外展開する際のコンサルティングを紹介しました。

 

来場者は、APECに参加する各国の保険局長や、ベトナムの病院関係者など、官民の様々な立場で高齢化問題に関わるポリシーメーカー、有識者、実務家など300名近くが参加しました。

 

 

日本は欧米に比べて、急速に高齢化が進んだと言われていますが、アジア諸国はさらに短期間で高齢化が進むと言われています。

例えば、開催国のベトナムは、高齢化率(総人口に対する65歳以上の高齢者人口の割合)が7%を超えた高齢化社会から、14%の高齢化社会に移行するまでの所用年数が20~22年しかかからないと言われており、人口の高齢化が最も早く進んでいる世界の10カ国のうちの一つです。

(例えば、スウェーデンは85年で高齢化社会から高齢社会へ移行)

 

このような国においては、高齢者制度やサービス、介護やリハビリの人材育成などのインフラが十分に整えられないまま、

また特に、アジア諸国は経済的な発展が十分に遂げられていない状況で、同時に高齢化を迎えるという、かなり難しい状況にあります。

 

そのような国においては、高齢者ができる限り自立した生活を送れるように、予防、リハビリ、自立支援のための介護といった、日本の高齢者向け施策への関心度が高くなっています。

 

私たちのブースにも数多くの来場者が起こしになり、日本の高齢者サービスの仕組みなど、いろいろ質問されていきました。

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また、私たちのブースでは、来場者への啓蒙活動を兼ねて「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の判定テストとして、

・立ち上がりテスト

・2ステップテスト

を体験してもらいました。

 

高齢者が自立した生活を継続するためには、運動器の機能の維持も重要な要素になります。

実際にロコモティブシンドロームのリスク評価テストを体験してみて、

「あと数年後にこれができるかな?」と想像したり、「今でも難しい」という感想を持つことで、自国の高齢者の状況や予防の重要性を感じていただけたのではないかと思います。

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国によって、サービスや施設の充足度、専門職の人数などの環境や、文化的な面での違いは確かにありますが、その中でも日本の高齢者向けのサービスや制度、人材育成の仕組みは、これまでの反省も含めて、確かに貢献できる部分はあると感じます。

それぞれの国の状況に応じて工夫をしつつ、できるだけ先を見据えた施策として、アジアの高齢化問題の解決の一助になれるよう、私たちも関わっていければと考えています。

 

鈴木勝也

 

認知症にやさしいデザイン

2017年08月28日(月)


2017年7月に東京世田谷区の2つの施設(グランクレール世田谷中町と看護小規模多機能型居宅介護事業所ナースケア・リビング世田谷中町)が、日本で初めて、英国スターリング大学から認知症デザインのゴールド認証を取得しました。メディヴァは、英国スターリング大学と協力し、この2施設の認知症デザイン導入と認証取得を支援いたしました。

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 今回のブログは、認知症にやさしいデザインとは何か、またその効果について、認知症デザイン導入と認証取得の経験を踏まえて紹介していきます。

 

まずは認知症の簡単な背景から説明します。認知症は、日本だけに限らず、世界で大きな課題となっています。国際アルツハイマー病協会(ADI)の推定では、世界の認知症の罹患数は2015年の4700万人から、2030年には1.6倍の7500万人に、2050年には約3倍の13200万人に増加するとされています(図1)(ADI 2015)。
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認知症に関連したコストは、2015年の時点で全世界で約90兆円と試算されており、これは世界のGDP1.1%に相当します(ADI 2015)。認知症に特徴的なのは、医療にかかるコストがこのうちの20%弱にすぎず、残りの80%以上は介護とインフォーマルケア(家族介護など)にかかるコストだということです(図2)(ADI 2015)。これは、認知症では家族や介護者の介護負担が大きいことを反映しています。

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認知症の罹患数が今後ますます深刻化し、それに伴い介護負担の社会的、経済的影響が増加していくなか、認知症にやさしいデザインは、認知症の人たちに対する効果的なケアの一環として注目されてきています。

 

今回、東京世田谷区の2施設の認知症デザイン認証を行ったのは、英国スターリング大学認知症サービス開発センター(以後「DSDC」と表記)です。DSDCは、イギリス北部スコットランドに位置し、認知症の人々の生活を向上させるための様々な専門的知見を有する大学付属の国際センターです。25年以上にわたり、世界各国の研究や実践例を集約し、認知症にやさしいデザインの重要性を広めています。認知症にやさしいデザイン導入支援と認証審査・授与に加えて、認知症ケアの教育や人材育成プログラムの提供、認知症にやさしいコミュニティの確立、認知症政策提言などを行っています。

 

認知症にやさしいデザインとは、認知症の人たちの尊厳を保ち、その人らしく、できるだけ長い間自立して生活できることを促すものです(DSDC 2013a)。認知症の人が受けるストレスを減らすことで、混乱や不穏な状態になることを減らし、また転倒の危険性を最小限にすることで、不必要な入院を防ぐことを目的としています(DSDC 2013a)。

 周囲のデザインが私たちに与える影響は、非常に大きなものです。例えば周囲の環境の影響で、自然と気持ちが落ち着いたり、逆に集中できず物事がうまく進められない経験を皆さんもしたことがあると思います。認知症のように認知機能が低下し、自立が難しくなると、周囲の環境がその人の行動に与える影響がさらに強くなります(Kehana et al 2003; Marshall 2009)。

 

認知症は脳のどの部分が影響を受けるかにより以下のような様々な症状がでてきます。

・記憶力の低下、特に最近のことが思い出せなくなる
・学習能力の低下
・論理的思考能力、判断りょく、問題解決能力の低下
・五感への依存度増加
・不安やストレスの増加
・コミュニケーション力の低下
・時や場所感覚の低下
・感情、行動、性格の変化

 

認知症は通常の老化の一環ではなく、65歳未満の若年層にも起きる疾患です。しかし、認知症に罹患している人たちの90-98%は65歳以上の人たちで占められており(WHO 2012)、高齢になるほど罹患率が高くなります(図3)(ADI 2015)。そのため認知症の大部分の人にとっては、認知症による記憶力や認知機能の低下とともに、高齢者特有の歩行能力の低下、転倒危険性の増加、視力や聴力の低下のような機能低下も起こっているのです。
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認知症にやさしいデザインは、記憶力や認知機能低下と同時に高齢者特有の機能低下にも配慮したものになります。

 

DSDCがこれまでのエビデンスに基づいて提唱している認知症デザインの原則のうち、ここでは主な5つ(照明、床の色調、トイレのアクセス、外空間へのアクセス、見慣れたオブジェ)の特徴を、実際の導入例と合わせて簡単に紹介します。

 

1.照明

照明は、老化による視力低下の影響を補い、必要な情報がしっかりと見える環境を作るということで重要です。高齢者の視力に適切な照度を確保することで、目指す場所を見つけることや、手元の作業ができることを手助けします。通常の建築基準は、労働年齢の人の必要度に基づいて照度が設定されています。認知症の高齢者はこの照度基準の2倍程度の明るさが必要とされています(DSDC 2010, 2013b)。このため今回の2施設は、DSDCの示している空間ごとの基準に従い照度を確認しながら照明の設置が行われました。
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もう1つの照明の重要性として、自然光には、生活リズムを整える役割があることです。認知症の人は昼夜逆転した生活を送ることがしばしばあります。これは本人だけでなく、介護する人たちにとっても大きな負担となります。自然光をたくさん取り込むことができる構造にすることで、自然光の恩恵を最大限に生かし、人々の体内時計のリズムを整えることに役立てます。

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2.床の色調

床は、施設全体で統一した色調を採用しています。部屋と部屋の境目も同じ色調にしてあります。床の色調が変化すると、認知症の人はこれを段差や穴として認識してしまうことがあります。そのため一歩を踏み出すことをためらったり、立ちすくんでしまったりして、転倒のリスクが増加してしまいます(DSDC 2013b)。
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3.トイレのアクセス

トイレに自立して行けることは、多くの人にとって尊厳を保つために優先順位の高い項目になります。トイレがどこにあるか一目でわかることは大変重要な要素になりますので、適切な場所と位置にトイレの標識を設置しています。またトイレのドアは周辺の壁とコントラストをつける色にし、ドア上には文字とピクトグラムの2種類の表示をつけて、トイレだとすぐにわかるようにしてあります。
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4.外空間へのアクセス

自分の意思で外の空間に行くことができるというのは、身体的・精神的な健康を維持するためにどの人にとっても大切なことです(DSDC 2013a)。今回の2施設はともに、中庭やベランダへのアクセスは自由にできるように配慮されています。デザイン面でもバリアフリーであり、部屋の内外で床の色調は統一したものが採用されています。
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5.見慣れたオブジェ

認知症の人にとって、記憶は最近の出来事から失われていき、昔の記憶は長い間失われずに残っている傾向があります。回想法と呼ばれる認知症の療法の一つはこのことを利用しています。今回はイギリスの認知症デザインの原則を導入しているのですが、日本人の利用者を対象にしているので、日本的な要素を多く取り入れています。この点は、認知症デザインの原則を文化的な背景に配慮して取り入れることができたということで、DSDCに高い評価をされました。
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東京世田谷区の2施設が受賞したゴールド認証は、300近くにわたる項目を90%以上満たした施設にだけ送られる最高レベルの認証になります。すでにこのような認知症デザインを導入した施設では、転倒数の減少や暴力行為の減少、また自立してトイレに行ける人の割合の向上や介護スタッフの満足度向上の報告がされています。

 

認知症にやさしいデザインは、これまでの認知症ケアの質をさらに高め、認知症の人だけでなく、介護をする人にとってもプラスとなる可能性を持っています。私たちが直面している認知症という大きな課題に対して、現時点で私たちが取り入れることのできる対応策の1つであり、これが広まることの社会的意義は大きいと感じます。

木内大介

 

参考文献

  • Alzheimer’s Disease International (ADI) (2015) “World Alzheimer Report 2015 The global impact of dementia: an analysis of prevalence, incidence, cost and trends”
  • DSDC (2010) Light and lighting design for people with dementia”
  • DSDC (2013 a) “Improveing the design of housing to assist people with dementia”
  • DSDC (2013 b) “Designing interiors for people with dementia”
  • Kahana et al (2003). “Person, environment, and person-environment fit as influences on residential satisfaction of elders”
  • Marshall (2009) “The needs of people with dementia and their carers and the potential role of design and technology”
  • WHO (2012) “Dementia: a public health priority”

ベトナム北部病院長会議

2017年08月10日(木)


こんにちは。海外事業部の西澤です。
6月末に、「ベトナム北部病院長会議」へゲスト参加するため、ベトナム北部のラオカイ省へ出張しました。

ベトナム北部病院長会は6年前に設置され年次会議を開催しているそうです。会議の目的は、病院経営や病院運営における様々な課題について、保健省幹部と各病院幹部の間で知見を共有し解決策を議論すること、とされています。会議はハノイにある国立バックマイ病院が中心になって準備しています。

メディヴァは、2016年から国立バックマイ病院で健康診断センター新設のプロジェクトに取り組んでいます(https://mediva.co.jp/kaigai/service/support.html のページ後半)。その縁で、2017年の「ベトナム北部院長会議」への招待を受けました。今回のブログでは、同会議へ参加のための出張の様子を報告します。

2017年の会議は、ラオカイ省の省都であるラオカイ市で開催されました。ハノイ市からは高速道路で約6時間の道のりです。ラオカイ省は中国雲南省に隣接する国境の省です。私たちが宿泊したラオカイ市内のホテルからも、越中国境を望むことができ、国境の橋には人と車の往来が続く様子を垣間見ることができました。


http://d-maps.com/

 

会議には、保健省から保健大臣を筆頭に各局長クラスが、主催者であるバックマイ病院からは病院長、副院長らをはじめとした幹部が参加し、ベトナム北部全域から集まった国公立病院の院長、幹部との間で、プレゼンテーションやパネルディスカッションが行われました。
冒頭の挨拶に続き、保健大臣から、保健省が取り組んでいるベトナムの保健医療分野の課題について基調講演がありました。その後も各発表者からそれぞれの分野での取り組みが披露され、また各トピックについて議論されました。

ベトナムには国公立医療機関として、中央レベルに38病院、各省レベルに492病院、ディストリクトレベルに700ヶ所弱の病院とその分院、さらに1万ヶ所以上のコミューン診療所があり、保健省と地方政府保健局のもとで医療サービスを提供しています(数値はプレゼンテーションより)。各医療機関がその役割を果たすことはもちろん、その地域や特性に応じた機能を強化していくことの重要性が強調されていました。私の個人的な解釈ですが、ベトナムでは経済発展により都市化が進み、都市部と農村部の疾病構造に差異が表れる段階にあることから、画一的な医療ではなくその地域と患者のニーズに合致した医療サービスの提供が求められていると感じました。パネルディスカッションでは、同時通訳者の翻訳が追いつかないくらいの真剣な議論が交わされ、保健医療の改善に対する参加者の熱意を感じることができました。

 


会議出席代表者らによる集合写真

 

また、会議の前日には、会議開催都市であるラオカイ市の「ラオカイ総合病院」を見学しました。ラオカイ総合病院は600床の省立病院で、CTスキャナー、MRI等の検査機器を有する同省の基幹病院です。現在の病棟は韓国の援助により建設されたものとのことでした。ラオカイ総合病院は、ティーチングホスピタルであるバックマイ病院からの指導を受けつつ、自院もラオカイ省の基幹病院として省内の医療機関に対して技術指導を行っているとの説明がありました。ベトナム北部地域の国公立病院は、トップレファラルでティーチングホスピタルであるバックマイ病院を中心に、傘下の病院が組織化されていますが、ここラオカイでもその一端を見ることができました。将来、メディヴァがバックマイ病院と協力してベトナム北部全域に健康診断の普及活動を行うときには、有力な基盤として機能してくれるのではと期待が膨らみました。

 


ラオカイ総合病院正面入口

 

以上で、ベトナム北部院長会議にともなうラオカイ出張の報告を終わります。普段の出張ではハノイ市を出ることはありませんので、今回、高速道路からの景色も含めて、都市部とは異なるベトナムの別の姿に触れることができたのは、私にとって貴重な経験でした。メディヴァがバックマイ病院と協力して進める健康診断事業においても、ハノイ市周辺だけでなく、各地域に暮らす人々に広く貢献するような活動に育て上げるところまで、一歩一歩進めていきたいと改めて感じた行程でした。

日间服务「ぽじえじ」进入中国!

2017年08月02日(水)


日本語版

大家好!我是海外事业部鮑柯含。
2017年7月13日,本公司的“ぽじえじ服务站”(以下称“ぽじえじ”)日间服务正式宣布进入中国。当天,我与社长大石佳能子参加了与当地合作伙伴的签约仪式和记者发布会。这次的博客,想对“ぽじえじ”和往后的计划进行简单的介绍,以及表达我作为中国人的一些寄思。

当天签约仪式在天津市中心生态城医院进行。在当地政府和生态城医院相关人员,以及众多媒体的见证下,与合作伙伴的“中福老龄产业开发有限公司”进行了签约。 
媒体报导:http://news.xinhuanet.com/mrdx/2017-07/14/c_136443168.htm                   http://mp.weixin.qq.com/s/OaeV3NcvoD6HwbyzVsxw1Q

 

“ぽじえじ”的概要

“ぽじえじ”这一日文名称,是英文“positive-aging”的缩写取音,是一家以机能训练为主的老年人日间服务中心。从2011年第一件店铺开业以来,目前在日本东京都内开设了6间店铺,平均每年为7万人次的老年人提供服务。“ぽじえじ”与一般社会理解的老年护理不一样,我们积极地面对年龄的增加,支持老年人“做自己,快乐生活”的愿望。

“ぽじえじ”的核心理念,与日本政府目前提倡的“自立支援介护”的想法一致,都是为了帮助老年人尽可能的自立生活。“自立支援介护”,是通过介护这一手段,改善或维持服务对象的“身体”、“精神”、“社会”3个层面的自立。在“ぽじえじ”,我们通过机能训练,使老年人的身体机能得到提高。另外,对于老年人来说,“ぽじえじ”也是他们在社区的“居场所”。(在日语里所说的“居場所”是指,让人感觉到自在并且有归属感的地方)。由于身体机能的低下,很多老年人会丧失主动与他人交流的意欲。在“ぽじえじ”,我们提供老年人与他人交往的机会,以促进老年人的社会交流。另外,通过“身体能力的向上”和“社会交流”这2方面,正面强化老年人能做到的方面,引导老人们获得新的目标,从而最终给精神带来积极的影响。

「ぽじえじ」HP:http://posi-age.jp/

 

我认为的「ぽじえじ」的特征

体现了优势视角理论模型

“ぽじえじ”的实践用社会工作的理论模型来看,可以说充分体现了优势视角。优势视角,将服务对象作为“有目的的有机体”。[i]在“ぽじえじ”的实践流程中尤其能够体现。在预估的阶段,以往的问题视角是把着重点放在“问题”的诊断上,并以“问题的解决”为最终目标。而在“ぽじえじ”,我们的主要核心是“目标”。为实现目标所需的回复和改善则是我们的目的。

另外,优势视角从不着重于服务对象的弱势之处,而是着重并激发于个人内在的力量。最近,在“ぽじえじ”发生了以下的一件小事。某位有中风后的麻痹和认知症(老年痴呆症) 的服务对象,故意捣蛋地踩坏了训练用的小道具。一般,这可以说是让人头疼的行为、使工作人员烦恼的行为。但在“ぽじえじ”,我们却积极地称赞他说:“最近躯体的力量变强了”。像这样的察觉和着重优势的介入,能让服务对象体验到成就感,从而获得成长。

服务对象为本的服务提供

服务对象为本(日语称“利用者本位”),是指根据服务对象的立场和视角而进行援助,而非根据提供服务的人的价值观和价值基准决定服务的介入。[ⅱ]提供服务对象为本的服务,虽然必须尊重服务对象的意见,但也并非指一味地顺从。这需要我们站在服务对象的立场,充分理解他们的行为和背后的意图与动机。如上文所提到的那位服务对象,他将道具踩坏这一行为,恰恰背后有其原因。他是希望得到别人的关注,想与别人进行交流,才采取这样的行动。我们的工作人员迅速的察觉他的动机,留心多增加与他的交流。

另外举个例子,在我们的实务中,常有老人抗拒对他们来说尤其重要的补充水分。像这样的时候,我们既不会强制他们喝水,也不会一味的尊重他们的想法,认为不喝水也可以。为了让老年人不觉得乏味,我们准备了水以外的茶和其他的多种饮品,并且在运动后等可能口渴的时候,抓住时机建议他们喝水。这就是“ぽじえじ”流的做法。

80后直面的问题

独生子政策的实行,虽成功地抑制了人口爆发,但也产生了诸多社会问题。其中有一项就是,年轻人抚养压力过重。特别像我这样的80后,需要同时照顾父母和下一代,所谓“上有老,下有小”。80后的父母现在几乎都是50多岁,大多还健康有,但考虑到未来10年、20年、30年后的情景,或多都有写不安和压力。

在可以想见的未来的困难之中,使父母保持健康活力的状态,是像我一样的年轻人们的共同的愿望。尤其是在奉孝的中国,父母的健康对我们来说既是精神的慰藉,也是影响到日常生活的重大因素。

期盼父母健康、快乐、体验人生的价值,是我一直以来的愿望。可以说,“ぽじえじ”是我一直期待的服务。

 

“ぽじえじ”中国展开之际

“ぽじえじ”在中国开展时,我们赋予了“普濟艾継”这一名称。其含义如下:
普—普遍
濟—给予困难的人们帮助
艾—年轻、美好
継—继续、延续
“普濟艾継”,有着对困难的人给予普遍的关注和帮助,使他们的美丽能够持续这一含义。通过“ぽじえじ”的服务,希望能延续中国的老年人有活力的生活。

“ぽじえじ”在中国的开展,不像在日本有介护保险的束缚,非常灵活。以“positive-aging”这一核心的理念,除了开展机能训练,也可以根据中国的老年人进行调整。例如对爱社交的中国老年人,我们可以提供社会活动。或者是,引导老人们的家人,让他们深入了解老年时期的身体、精神的变化,促进老人们与家人的相互理解和交流等,也可以根据当地的需求和文化,作各种新的尝试。

通过“ぽじえじ”在中国的开展,也希望在中国衍生出更多的“自立支援护理”的形式,为以往的养老护理市场带来新的变革。如此,对于中国的老人们,以及关怀老人们的年轻人们,都是非常有价值的事。

作为MEDIVA的中国员工,我也希望以后能带给中国更多的像“ぽじえじ”这样的好的医疗和养老服务,帮助到自己的家人,以及普遍的,大家的家人。

[i]「ストレングスモデル」(2006),チャールズ・ラップ等著,田中英樹監訳,金剛出版

[ⅱ]「 社会福祉用語辞典」(2013), 山縣文治・柏女霊峰(編集), ミネルヴァ書房

デイサービス「ぽじえじ」中国進出!

2017年07月26日(水)


中国語版

こんにちは。海外事業部の鮑です。
2017年7月13日、弊社の「ぽじえじステーション」(以下「ぽじえじ」)デイサービスが中国で展開することになりました。当日、私も調印式及び記者会見に参加させていただきました。今回のブログは、「ぽじえじ」の紹介及び今後の事業展開の計画、そして、中国人としての思いを書かせていただきます。

調印式は、天津市中新エコシティー病院で行いました。当日、現地政府及びエコシティー病院の関係者、現地メディアの立会いのもと、パートナーである「中国老齢産業開発有限会社」と契約を締結しました。
プレスリリース:https://mediva.co.jp/service/news20170713

 

 

「ぽじえじ」の概要

「ぽじえじ」は、「positive-aging」の略称で、機能訓練に特化した高齢者デイサービスです。2011年に開設して以来、現在都内に、6店舗を展開し、年間延べ約7万人の高齢者にサービスを提供しています。「ぽじえじ」は、従来の介護と違って、年を重ねることをポジティブに捉え、高齢者の「いくつになっても自分らしく、いくつになっても楽しもう」という想いを支えています。

「ぽじえじ」の理念は、高齢者にできる限り自立した生活を送れるように支援するという「自立支援介護」の考え方とも一致します。「自立支援介護」は、その人の「身体的」「精神的」「社会的」自立を改善または維持するよう、介護という方法によって支援していくことです。「ぽじえじ」では、機能訓練を通して、高齢者の身体機能を向上させます。また、「ぽじえじ」は、高齢者にとって、地域における居場所とも言えます。機能低下に伴うコミュニケーション意欲が喪失した高齢者に、居場所と他人との関わりを作る機会を提供し、高齢者の社会参加の促進もしています。また、「身体能力の向上」と「社会参加」の2つの切り口として、高齢者ができることを強化し、新たな人生の生きがいを持てるよう、最終的にメンタル的にも、ポジティブな影響を与えることに繋がります。

「ぽじえじ」のHP:http://posi-age.jp/

 

 

私から見る「ぽじえじ」の特徴は?

ストレングスモデルを実践する「ぽじえじ」

「ぽじえじ」の実践をソーシャルワークの理論モデルから見ると、ストレングスモデルを実践したサービスと考えています。ストレングス理論は、「目的をもった有機体」としての人間を重視する[i]ぽじえじ」の中では、ストレングスモデルの考え方が実践のプロセスの中に見えています。従来のアススメントは、「問題点」を着目し、それらの問題の解決を目標にしています。一方、「ぽじえじ」では、主軸になっているのは目標です。個人の目標を実現するために、回復と改善を目的にしています。

また、ストレングスモデルは、クライアントの弱さに着目するのではなく、個人の内面的な強さに着目し、さらにその強さを引き出します。最近、「ぽじえじ」で次の1シーンがありました。麻痺のある認知症の利用者は、いたずらで機能訓練の道具を踏み潰しました。一般的に、それは「迷惑行動」、「スタッフを困らせること」として認識されますが、「ぽじえじ」では、「最近力が強くなってきていますね」と褒めます。このような気付きと強さに着目することによって、利用者に達成感を味わってもらい、成長に繋げます。

利用者本位サービスの提供

利用者本位は、「利用者主体」ともいい、援助者の価値観・価値基準の基で援助するのではなく、利用者の立場・視点に立って援助観を決定していくこと。[ⅱ]利用者本位のサービスを提供することは、利用者の意見を尊重しながらも、一方的に従うということでもありません。利用者の立場で、本人の行動の本当の意図を理解する必要もあります。前述の利用者を例とすると、「道具を踏み潰す」という行動は、その背景と理由があります。この利用者の場合は、「構ってほしい」「注目してほしい」という思いがあり、行動に移しました。職員は、すぐにこの思いを察し、声かけや会話を増やしました。

また、高齢者にとって大事な水分補給を拒否する利用者もいます。そういった場合、強制的に水を飲ませたり、あるいは飲みたくないと言う意思を尊重し、飲まなくてよしとしたりするようなことではなく、水やお茶以外な飲み物も多く用意して利用者が飽きないようにしたり、運動後など喉が乾きそうなタイミングを見計らって声かけするように工夫するのが「ぽじえじ」流です。

 

 

1980年代以後の世代が直面する困難

1980年代前後に施行される「一人っ子政策」は、人口爆発の抑制に成功した反面に、多くの社会的課題も生んでいました。その1つは、高齢化社会を支える若者の不足と言われています。特に、私のような1980年代以後生まれの若者は、現在親と子供を抱え、夫婦2人で少なくとも親4人と子供の世話をしなければならない状況に置かれています。いわゆる中国の表現の「上に老がいる、下に小がいる」 。80年代生まれの若者のその親は現在50代後半になり、未だに元気な方が多いですが、将来10年、20年、30年のことを考えると、不安とプレッシャーを感じています。

このように、見えてくる様々の困難の中で、如何に親を元気な状態に保つかということは、私のような若者の共通の強い願いです。特に、「親孝行」文化が根付いた中国で、親の元気は、我々にとって精神的な慰めてもあり、日常生活に影響の大きいことでもあります。

「ぽじえじ」は、私が遙から期待していたサービスです。親に元気にいてほしい、楽しんでいてほしい、自分の価値を感じていてほしい、と今でもこれからも、願い続けることです。

 

 

「ぽじえじ」の中国展開に込める思い

「ぽじえじ」を中国での展開に向けて、中国語名称を「普済艾継」にしました。この名称に込めた思いは、以下のように考えています。
普—普遍
濟—困っている方々に対する支援
艾—若さ、美しい
継—継続、続く
「普済艾継」は、「若さと美しさが継続できるように支援する」という意味を含まれています。「ぽじえじ」のサービスを通して、中国の高齢者の生き生きした生活を続けるように、サポートしていきたいという思いを込めています。

「ぽじえじ」を中国で展開する際に、介護保険の縛りがなく、非常に柔軟性を持っていると思います。中核的なコンセプト「positive-aging」を持った機能訓練以外に、中国高齢者に合わせた形にもなれると思います。社交的な中国高齢者に、ソーシャル活動を提供したりすることができます。また、高齢者の家族を巻き込んで、家族が高齢に伴う各種身体的・精神的変化を理解してもらい、高齢者が家族との相互理解とコミュニケーション促進など、現地のニーズと文化に合わせて、新たな試みもしていきたいと思います。

「ぽじえじ」の中国展開を切り口にし、今後中国で多様な「自立支援介護」の形を生み出し、従来の高齢者介護市場に、新たな変革を起こせたら、中国の高齢者にとっても、その高齢者達を支えている若者にとっても、価値があることと思います。

メディヴァの中国人社員として、今後も「ぽじえじ」のような良い介護サービスと医療を中国に持っていき、自分の家族から、普遍的に多くの人の家族まで、少しでも役に立ちたいと思います。

[i]「ストレングスモデル」(2006),チャールズ・ラップ等著,田中英樹監訳,金剛出

[ⅱ]「 社会福祉用語辞典」(2013), 山縣文治・柏女霊峰(編集), ミネルヴァ書房

日本の医療機関での外国人対応

2017年07月06日(木)


 こんにちは、海外事業部の松永絵葉です。2020年の東京オリンピックも控え、今後、日本で医療機関を受診する外国人患者の数が増加することが予想されています。政府も、オリンピックに向けて医療機関における外国人対応の強化を図る公募事業などを実施していますが、多くの医療機関にとっては、費用と手間をかけてまで、外国人患者の受入れ体制を整備するほどではない、と考えられておられるのが実情ではないでしょうか。

 外国人患者の来院で、やはり大きな壁となるのは言語の問題だと思います。そこで、今回は負担なく利用できる多言語対応ツールと、外国人が理解しやすい日本語についてご紹介します。

 まず、日本における外国人数の推移を見てみましょう。2016年に、訪日外国人が初めて2,000万人を超えたことが話題になったのも記憶に新しいかと思います。確かに、日本政府観光局のデータ(下表)の通り、訪日外国人は、ここ数年で著しく増加しており、そのほとんどが観光客だということがわかります。

 政府は、2016年3月に観光先進国を目指す新たな観光ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、外国人観光客の増加に力を入れています。具体的には、訪日外国人旅行者を2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人に増やすことを目指しています。

 さらに、入国管理局のデータ(下表)からは、日本に在留する外国人が2012年以降増加し続けていることがわかります。2016年には240万人まで迫っています。

201707_訪日外国人推移201707_在留外国人推移

訪日外国人数推移:日本政府観光局
在留外国人推移::法務省入国管理局

 こうした状況の中、日本滞在中に怪我や病気で医療機関に来院する外国人が増加することはほぼ確実といえるでしょう。しかし、日常的に外国人が来院する医療機関は限られ、多くの医療機関では時々外国人が来院する程度と考えられます。そうした医療機関では、どういった準備ができるでしょうか。

●多言語対応ツール
 最近では、様々な言語に訳された問診票や診察を助ける資料など、豊富に提供されています。いざという時のために、こうした資料をストックしておくのも有効です。ここでは、その一部をご紹介いたします。

・厚生労働省「外国人向け多言語説明資料」
英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の各種問診票や制度の説明、手術・検査の同意書などが提供されています。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056789.html

・特定非営利活動法人AMDA国際医療情報センター「問診票等」
外国人患者が医療機関の窓口で戸惑わないように、一般的な外来診療の流れや診察のお願いの資料などが英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語などで提供されています。また、旅行保険などの民間保険利用者に対する支払い済み証明書などもダウンロードできます。
http://amda-imic.com/modules/useful/index.php?content_id=1

<積極的な外国人患者受け入れを検討されている医療機関様向け>
・平成26年度経済産業省 病院のための外国人患者の受入参考書
医療を目的とした外国人患者を受け入れるための業務やリスク回避などについて説明されています。http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/26fy_sankousyo_all.pdf

・経済産業省ヘルスケア産業インバウンド情報
医療通訳の活用例や事業リスト、外国人患者の支払う医療費に関する検討、各種同意書(英語・中国語・ロシア語)等が提供されています。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/inbound.html

●英語よりも、やさしい日本語
 私は、以前日本語教師として働いていたことがあるのですが、その経験から、日本人が考える「外国人にとってわかりやすい日本語」と実際に外国人にとってわかりやすい日本語は、実は違うことがあるということを感じています。私たちは外国人を見ると、英語で話しかけがちですが、実は英語が全く理解できない外国人も多いのです。しかし、日本に在住している外国人は、日本語なら少し理解できるという方も多いです。そこで大事になるのが外国人にとってわかりやすい日本語「やさしい日本語」を使用するということです。

 「やさしい日本語」は、日本語初級レベルの外国人にとってわかりやすい日本語のことを言います。1995年1月の阪神・淡路大震災では、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない外国人が多くいました。そこで、こうした方々にも、適切な情報を伝達するために考え出されたのが「やさしい日本語」です。近年では、「やさしい日本語」は、災害時のみならず、外国人への日常的な情報提供手段として研究され、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的に様々な分野で活用の場が広がっています。

<やさしい日本語で話す3つのポイント>

①「です」、「ます」などの丁寧体で話す。
一般的に外国人が日本語を学習するときには、活用のやさしさから、始めに「~です」、「~ます」を学習します。そのため、例えば「そこに すわる」ではなく、「そこに すわります」の方が伝わりやすいでしょう。

②短く切って、ゆっくり話す。
一文はできるだけ短くしましょう。また、話す際もゆっくり話しましょう。ただし、「こ・こ・に・か・き・ま・す」など、一音一音区切ると逆にわかりにくくなります。わかりやすく話すには、文節ごとに区切ると良いでしょう。文節とは、文章を意味のまとまりで区切った単位のことです。
例えば、「ここでまちます」は、「ここで  /  まちます」 と分けられます。
日本人だと、「ね」を入れるとわかりやすいでしょう。
「ここでね  / まちます

③尊敬語、丁寧語は使わない。
受け身文も難しいので、避けた方がよいでしょう。尊敬語、丁寧語は外国人には非常に難しいです。尊敬語、丁寧語を使用しないことは、日本語初級者の外国人にとって、失礼ではなく、親切です。

 また、「~てください」といった表現が伝わらない場合は、主語をつけることも一つの手だと思います。例えば、「ここで待ってください」という日本語は、「あなたは ここで まちます」といえばより簡単になります。

 外国人の母語で話ができれば一番良いですが、それが難しい場合、英語よりやさしい日本語の方が理解しやすいことがあることも、知っていただければと思います。

 医療の場に限らず、今後日本人が外国人と接する機会は増えることでしょう。そんなときに、日本人としてやさしい日本語でおもてなしができると良いですね。

参考文献
法務省入国管理局「平成28年末現在における在留外国人数について」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00065.html (2017/6/30参照)

日本政府観光局「国籍/目的別 訪日外客数(2004年~2016年)」
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/ (2017/6/30参照)

国土交通省観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」http://www.mlit.go.jp/kankocho/topics01_000205.html (2017/6/30参照)

弘前大学人文学部社会言語学研究室 「やさしい日本語」
http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/EJ3mokuji.htm (2017/7/4参照)

明海大学外国語学部日本語学科准教授 萩原 稚佳子 日本語検定「世界から見た日本語コミュニケーション(16)「やさしい日本語ってどんな日本語?」http://www.nihongokentei.jp/amuse/essay/w_16.html (2017/7/4参照)

メディヴァ海外事業部の2017年上期

2017年06月19日(月)


こんにちは、鈴木将史です。早いもので2017年ももう半分が過ぎようとしています。メディヴァ海外事業部では、この約半年もまた色々と新しい動きがありましたので幾つか取り上げてみたいと思います。

 

①サウジアラビア王女さまが来日→乳がん検診プロジェクトがスタート

②日本政府が進める「国際・アジア健康構想協議会」の事務局を担当

③ベトナムに自前クリニックを設立することに

 

まず①に関しては、今年の3月12日にサウジアラビア国王が46年振りに来日されました。この訪日団の中に同国で女性の健康増進活動を行っている王女がいらっしゃったのですが、当社の乳がん検診の取り組みの話に興味を持たれ、関連施設(イーク表参道)の見学を行うと共に、同国への乳がん検診の展開について協議を行いました。その結果、今年より首都リヤドにパイロットサイトを作ろうということでプロジェクトがスタートしています。

次に②に関しては、既に当社の様々な所で書かれているので詳細は省きますが、日本政府は、「日本式」介護、すなわち「自立支援介護」のブランド化、「自立支援介護」を進める優良事業所の底上げ、介護人材の効率的な教育などに力を入れています。これを進める内閣官房 健康・医療戦略室のお手伝いを我々のチームが行っています。2月9日に開催された「第一回 国際・アジア健康構想協議会」では事務局を務め、約400人の出席者が集まりました。

最後に③に関しては、ベトナムのホーチミンに隣接するビンズン省において、ベガメックス東急社(東急電鉄さんと現地国営企業ベガメックスIDCの合弁企業)が開発を進めるビンズン新都市内に当社主導でクリニックの開設を行う運びとなりました。目下開発中のこの新都市(まだ医療施設はほぼありません)において理想の地域医療の構築を実現すべくまずGPクリニックの開設を目指します。

 

この3つ以外にも、順調に進んでいるベトナムのバックマイ病院のプロジェクトでは、4月に病院長ご一行が来日され、同行されていた保健大臣とも様々な協議ができました。中国は相変わらず動きが激しく、中でも亀田総合病院と共に進めるプロジェクトはかなり大きなものになりそうです。もうすぐ全貌が見えるので誰かが本ブログで書くことでしょう。その他、ミャンマー、イギリス、台湾などプロジェクトの卵たちが孵化を待って?いるところです。この半年間も昨年に違わずドラスティックな期間でした。

 

 最近では私を含め皆さん出張が多く、全員が一同に会することが少なくなってきましたがようやく来月の上旬には久々の飲み会も開催できそうです。世界各国から集められたお酒と食材で楽しい会にしたいと思います。日々色々とはありますが、チームメンバーのレベルアップも進んでいますし、また年末には面白い報告ができそうです。

 

写真はビンズン新都市の完成予想

 

既に完成しているこのタワーの1階にクリニックができます。

 

タワーの上層階から見た風景。これからどんどん街ができていきます。

 

 

「ぽじえじ」の自立支援介護について

2017年05月31日(水)


はじめまして。4月に入社した中国出身の姜(ジャン)と申します。

 

私はコンサルタントとして入社しましたが、入社3日間後よりメディヴァの関連会社が運営する機能訓練に特化したリハビリ型デイサービス「ぽじえじ」の研修を受けています。実務経験を身につけるためです。

今回は研修の様子についてご紹介したいと思います。

 

ぽじえじとは

「ぽじえじ」とは「ポジティブ・エイジング」の略で、「いくつになっても自分らしく、いくつになっても楽しもう」ということで、歳をとったことを受け入れながら、それでも「自分らしく」、「楽しく」過ごすことを目指しています。

 

お客様のADLを高めるため、一般的なデイサービスである入浴、食事介助のサービスはなく、マシン、平行棒、ジムボール、セラバンド等での機能訓練に特化し、安倍首相が総理大臣官房で開催した第二回未来投資会議で提案した「自立支援」という介護の概念を率先する介護サービスの提供をしています。

 

私は昔から運動は大の苦手で、社会人になって、ずっとデスクワークをしてきました。しかし、今ではお客様と一緒にからだを動かしたりするうち、最近では意外と楽しくやりがいを感じるようになってきました。お客様からも来るのが楽しみという声も頂き励みになっています。

研修して間もないため、まだお客様のADLの変化を直に感じることは難しいのですが他の職員の話によれば、今通っているお客様の中に寝たきり状態から要支援まで回復した方、会話が全く理解できないほど重度認知症の方がみんなで運動することができるほど回復して例もあったそうです。また、家で引きこもり気味の方が服装を整えてくる方も多くおり、よい社会参加へのきっかけをつくることができているようです。

 

今までの業務の関係で日本と海外の介護施設を見学してきたのですが、比較的お客様は無表情が多い印象でした。それに対し「ぽじえじ」のお客様は生き生きとした顔をされる方が多いなという印象を受けました。

 

「ぽじえじ」のような機能訓練を通じて、要介護対象者のADLを高めていく施設が日本国内に限らず、海外にもどんどん増えればいいなと考えております。ご興味のある方はぜひお問合せいただければと思います。

WeChatで医療現場が変わる!?

2017年05月11日(木)


みなさん、こんにちは。海外事業部の西川です。

 

私は出張で中国に行く機会があるのですが、今回は中国のスマホ活用についてご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、中国ではインターネットやスマホの普及率は非常に高く、スマホだけでほとんど日常生活ができるくらい、様々な分野で活用されています。

例えば、最近日本で話題になったタクシー配車アプリは本当に便利で、GPS機能を活用して現在地からタクシーの走行状況がわかるだけでなく、行先入力するとタクシーの運転手から連絡があってスマホ画面には車番、運転手の名前などが表示される仕組みになっています。支払いもスマホで代金決済できるので、現金を持つ必要がありません。

実はスマホでの代金決済で利用されているのが「WeChat 微信」なのですが、このアプリが非常に活用範囲が広いのです。
無料通信アプリの代表格なアプリで、いわゆる中国版LINEとされる「WeChat 微信」は、中国では圧倒的な利用者数となっています。
私達も中国の関係者とメッセージのやり取りをする際には、WeChatを利用して行っており、中国で仕事をする上で必須なアプリとなっています。

 

最近では「WeChat 微信」は医療現場でも活用されてきています。
日本と同じく中国でも大学病院には毎日多くの外来患者さんが来院しており、都市部では1日の外来患者数が10,000人を超える病院もあります。
中国の医療機関で診察をする場合、日本とは異なり「予約」してから診察をする前に医師の指名料や初診料などの「会計」で支払いを済ませます。
診察後、医療保険でカバーできない検査や薬があれば、医療保険の納付を行って、薬の受け取りの流れで進むのですが、この「予約」と「会計」をWeChatで決済してしまうのです。

WeChatでの診療サービスを利用するには、医療保険の情報を事前にWeChatに設定しておく必要がありますが、わざわざ窓口に並ぶ必要もなく、スムーズに診察に進むのは大変便利だと思います。
WeChatの活用の幅も広がっており、診療開始時間のアラームや、検査結果の報告など、色々な試みが始まっているそうです。

このような試みは広州省を中心に行われていますが、中国全土に広がりつつあります。

 

今後も、患者さんの満足度を高めるために、どのような医療サービスが必要とされているのか、国内外の医療現場に目を向けて行きたいと思います。

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