No.117 (2015/11/17)

2015.11.17

  ━━  皆様  こんにちは! ━━━━

 ようやく秋らしい気候になってきました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
 メディヴァは、相変わらず病院の再生、産業保健等の新規事業、ミャンマー、
 カザフスタン、モンゴル等の海外医療、などに忙しく邁進しています。

 さて、近況です。
 9月10日の鬼怒川堤防決壊で、水海道さくら病院と近隣の医師会病院
 は両院とも水没しました。テレビで患者さんが自衛隊のヘリに吊り上げ
 られる姿をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 水没以来小松さん以下、メディヴァの社員が常駐し、陣頭指揮をとり、
 現在、外来・透析・入院が再開しました。医師会病院は復興のめどが
 立っていないことからも、ほぼ「奇跡」と言えると思います。(詳しくは小
 松さんからのレポートをご覧ください。)

 ただ、再開はしたものの厳しい状況には変わりません。

 自然災害に対する国の補助金制度はありますが、施設整備費の半分
 しか出ず、運転資金には使えません。しかも、いつ出るのか、出るのか
 出ないのか、も未だ不明です。

 災害の時にまず困るのは運転資金です。それを出す制度がない、時期
 も分からないというのは、本当に復興させる気があるのか?と思ってし
 まいます。

 とりあえず、走り出した水海道さくら病院ですが、資金ショートすると、地
 域には病院は無くなってしまいます。制度上の課題は大きいです。

 補助金が出ない中、近隣住民の方を初め、いろいろな方から金銭、物品
 のご寄付を頂きました。クラウドファンディングのREADY FORでも、400万
 円近く集まりつつあります。(12月のカンブリア宮殿にて、紹介されます。)
 この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。

 寒くなってきましたが、お風邪などひかれないよう、お気をつけてお過ごし
 ください。
                                                 (代表取締役 大石佳能子)
                           
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 ┃ ▼ 水海道さくら病院の復興報告と病院の災害対策
 ┃        取締役コンサルティング事業部長 小松大介
 ┃ ▼ 講演情報、執筆・掲載情報
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┃▼┃水海道さくら病院の復興報告と病院の災害対策
┃  ┃     取締役コンサルティング事業部長 小松大介
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 既に当メルマガでもご報告をさせていただいているように、当社支援先の
 「水海道さくら病院」は、9月10日の鬼怒川決壊に巻き込まれ、地下は冠水、
 1Fも床上1.5mまで浸水しました。内装は水というよりも泥まみれになり、
 透析やCT、アンギオ等の医療機器も全滅し、総額約8億円の被害となり
 ました。

 その被害から約2ヶ月が経ちましたが、病院機能はほぼ復旧し、今月末の
 地下の厨房復旧が実現すれば、後は一部の医療機器の納入待ちをする
 だけで、被災前の施設・機能に戻ることが確定しています。また既に外来
 患者数は100名と被災前と同等、入院患者は60名と被災前の75%、
 外来・入院透析患者は登録80名と被災前の85%まで戻ってきています。

 何故、わずか2ヶ月という短期間でこれだけの復旧を成し遂げることができ
 たのでしょうか。当社は被災当初から現場に複数名のスタッフが張り付いて、
 病院スタッフの皆様と共に復旧作業に尽力して参りました。その中で、得ら
 れつつある教訓を現時点で、少し考察・共有させていただきたいと思います。

 当社が考える今回の復旧のポイントは以下になります。

 1.復旧初期における懸念点払拭と見通しの整理
 2.定期的な情報共有、課題の見える化、迅速な経営判断 
 3.災害保険、リース動産保険、金融機関との信頼関係構築

 1.復旧初期における懸念点払拭と見通しの整理

 まず今回の復旧活動で最も重要だった点、その後の迅速な活動につながっ
 たのは、復旧初期における懸念点払拭と見通しの整理だったと考えています。
 被災後9月10-12日の3日間に及ぶ人命救助が無事に終わり、1日空けた
 復旧活動の初日の雰囲気は、大変に厳しいものでした。まずは幹部職員だけ
 が集まって会議が行われましたが、皆、被災の状況を目の当たりにして、不安
 に押しつぶされそうになっていました。

 そんな中、最初に行われたのは話し合いではなく、ポストイットを活用して、幹
 部全員が不安・課題・要望をできる限り列挙するという作業です。1枚に1テーマ
 を記載していきました。当然、内容は多岐にわたり、復旧の見込みや被害額へ
 の心配から、給料支払いへの不安、被災したスタッフへの援助など、ありとあら
 ゆることが記載されていきました。そして、このポストイットを、KJ法の要領
 でテーマごとにまとめ、壁一面に貼り出しました。この作業は、スタッフの不安
 を大いに和らげた効果があったと思います。自分達が感じてる不安や課題が、
 壁に貼り出されて網羅的に列挙されたことで、不安の次、具体的な対策を話し
 合う気持ちの余裕が生まれました。

 そして、この網羅的に列挙された課題を元に、今度は暫定的な見通しの策定が
 行われました。機器の搬出や泥かき、掃除といったまず手をつけなければならな
 いことと、保険の確認・行政との調整等時間がかかるものを分けて、それぞれに
 担当を決めていきました。また、あくまで暫定的ではありますが、大まかな工程
 とスケジュールが決められ、「奇跡の復興」というかけ声と共に、1ヶ月後には
 多くの機能を復旧させるという見通しを立てました。

 これらの効果は、現場のモチベーション維持と150人を超えるスタッフが同時
 に動くという復旧プロジェクトの実施において、絶大な効果を発揮しました。全
 員が全体のスケジュールを意識していること、またどんな些細なことでも課題が
 貼り出され共有され解決策が講じられていくことで、復旧のプロセスが一歩一歩
 進んでいることが実感され、スタッフが自発的にモチベーションを持って業務に
 従事することができました。

 2.定期的な情報共有、課題の見える化、迅速な経営判断

 上記の課題の張り出しとスケジュールの見通しを立てた後は、日々の進捗管理
 に移っていきました。この際も重要だったのは、できる限り幹部全員が情報を共
 有できることと、スピード感を持って課題を解決していく仕組みづくりでした。

 毎日、朝と夜、進捗確認の会議が行われ、必要な情報は一つ一つが整理されて
 貼り出されていきました。例えば、スタッフ全員の連絡先と安否確認、転院され
 た患者さんの行き先と容態、被災した医療機器のリストアップ、行政や業者の連
 絡先、また寄付やボランティアといった支援の状況です。

 こうした情報共有を行いつつ、前述した課題の見える化は徹底して実施し続け、
 また朝晩の会議では、その日起きた課題、次の日の課題が話し合われ、理事
 長中心にどんどん意思決定がなされていきました。

 誰も経験したことがない復旧活動でしたので、実際に毎日のように予定変更や
 新課題の創出がありましたが、常に情報を共有し、会議の場で意志決定が行わ
 れていくことで、大きな混乱がなく復旧が進んでいきました。ちなみに、予定外の
 課題としては次のようなことがありました。"地下の水が数日しても抜けず、急遽
 バキュームカーを動員したこと"、"誰も見たことが無い倉庫がありそこから大量
 の土砂まみれ書類が発見されたこと"、"厨房の被害が想定以上で、急遽、別の
 場所に臨時厨房を構築したこと"等です。
 
 3.災害保険、リース動産保険、取引業者・金融機関との信頼関係構築

 もう一点、非常に重要だったのは保険と取引業者・金融機関との信頼関係構築
 です。まず、施設については今回のような水害に対しても原状復帰が可能な"水
 災特約"、"新価特約"に入っていたことが大変に大きかったです。これらの特約
 に加入するコストはわずかですが、結果として今回の被災においては数億円の施
 設修繕費用が支払われる見込みです。

 またリースを活用していた医療機器や設備については、動産保険が有効でした。
 全てのリース会社ではありませんでしたが、多くのリース会社は動産保険が付帯
 しており、これによって設備の修繕費用の一部や、廃棄処分となったリース物件
 についての残債務が補填されました。リースではなく購入していた機器については、
 火災保険の"動産特約"に入っていなかったこともあって全て自己負担となり、また
 購入時に行った借入金の返済義務も残ったことを考えると本当に大きな差です。
 また、多くの被害に対して保険が活用できたとはいっても、運転資金等の一時的
 な不足は否めませんでした。そこで大事だったのが、取引業者や金融機関と培っ
 てきた信頼関係です。取引業者の皆様は、病院側からの申し出に対して快く対応
 いただき、一時的な支払いの繰延等の条件を許容していただきました。また、金融
 機関についても、緊急事態と言うことで積極的な支援を行っていただいております。

 こうした金銭面の下支えは、復旧活動において大変大きな安心感をもたらして
 います。給与支払いは滞りなく行われ、資金繰りも目処が経ちつつあることで、
 現場には復旧活動への集中するように自信を持って伝えることができるからです。

 以上が、現時点での水海道さくら病院の復興活動の状況とポイントです。細かい
 話で言えば、保険対象とならなかった設備や家具・医療機器の一部は、皆様から
 の寄付や中古でまかなったり、現場の工夫で乗り切っている面もあります。また、
 患者さんが戻りつつありますが、地域全体が被災したこともあり、施設復旧後に
 元のように患者さんが戻ってきてくれるかという点に不安が無いわけではありま
 せん。

 ただし、被災直後からの様々な対応を通じて、現場の士気は今までになく高く、
 また理事長中心に組織が一体化している雰囲気があり、おそらくこれからの
 日々の運営もレベルアップしていくことが十分に予想されるため、被災前以上
 に盛り上がっていくことは間違いないと思っています。 
                                                                       (小松)

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 再度の寄付のお願い

 上記、小松からの報告にあるように、「水海道さくら病院」の復旧については、
 一定の目処が立ちつつあります。しかしながら、リハビリを始めとした細かい
 医療機器や施設等については最低限の整備が見込まれるだけで、機能の完
 全回復にはまだ時間とお金がかかる状況です。
 そこで、最後に改めて、寄付のお願いをさせていただけたらと思います。

 詳しくは、下記のREADY FORまたは病院のサイトをご確認ください。

 READY FOR:
  https://readyfor.jp/projects/msakurahsp
 水海道さくら病院(寄付サイト): 
  http://www.msakura-hsp.com/images/info_contribution.pdf

 よろしくお願いいたします。

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┃▼┃講演情報・執筆情報
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 ◆講演情報◆

 地域医療構想、2016年診療報酬改定を見越した
         中小病院・診療所がとるべき在宅医療戦略
    -地域で必要とされる在宅クリニックの運営ノウハウ-
  第1部 『2025年に向けた取るべき在宅医療戦略』  
       株式会社メディヴァ 代表取締役社長 大石佳能子
  第2部 『成長できる在宅クリニックの経営戦略10の秘訣』
       株式会社メディヴァ シニアマネージャー兼
       医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック
            在宅医療部 事務長     村上 典由
   日時:2015年12月16日(水)午後2時~午後5時10分
   会場:アーバンネット神田カンファレンス
      東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル
   受講料:1名につき 32,400円(税込)
                メディヴァメールマガジンを見てお申込みされる方は、
              32,400円(正規金額・税込)→27,000円(ご優待価格・税込)
               お申込みの際にメディヴァからの紹介である旨をお伝えください。
   ↓ 詳細はこちら ↓
  http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_15376.html

 ◆執筆情報◆

 ■Medical Practice News 11月号に
  「業務改善」特集として「エンパワーメント(権限委譲)を検討する①」
  というタイトルで、弊社取締役小松大介が執筆しました。

 ■保険診療 10月号に
  「病床稼動を向上させるには?」というQ&Aを、弊社取締役小松
  大介が執筆しました。

  ■日経ヘルスケア11月号に
  「院長力を磨く!診療所経営駆け込み寺」というQ&Aを、弊社シニ
  アマネージャーの村上典由が執筆しました。