No.015(2008/06/06)

2008.06.06



目次




コンサルティングの現場から  "人事・労務管理のつきない悩み"

取締役・コンサルティング事業部長 小松大介

仕事柄、医療機関の現場の悩みを常にお聞きすることになるのですが、その約半分以上を占めるのが、人事や労務に関する悩みです。医療機関にとって、スタッフというのはサービスの品質を決める中核であると共に、コスト面でも平均して売上の半分強を人件費が占めることが多い(注:クリニックの院長人件費含む)ため、その上手な管理というのは経営における肝となります。

さて、人事・労務に関する悩みを大別すると
1.採用募集
2.人事考課(昇給、賞与) 
3.人間関係
にまとめられます。
以下、これらの悩みそれぞれについて、私が現場で出会う現実の課題と、解決に向けての考え方を整理したいと思います。

1.採用募集
どんな医療機関であっても、採用募集を全くしていない医療機関というのはお目にかかったことがありません。
医療機関の世界では、平均して毎年3割近くの人員が入れ替わっており、常に3割のスタッフが新規採用されているということになります。
その中で、良い人材を見つけることや、そもそも施設基準を満たすだけのスタッフを集めることは、経営における重要な課題であり、相談も多いテーマになります。

我々はこれらの課題に対して、一つの考え方を持って臨んでいるのですが、それは、"スタッフ募集もマーケティングである"という点です。
医療に関する資格を持ち、かつ医療機関で働きたいという人は、よほどの僻地でない限り必ずいるはずです。
それでもスタッフが見つけられないのは、近隣の医療機関や似たような業務の医療機関と比較して、職場が魅力的でない(魅力的に見えない)ことが原因の一つになります。
マーケティングであるとするならば、"認知=名前を知ってもらう"、"試行=見学・面接にくる"、"継続=採用が決まり辞めずに勤める"という点を意識して対応することで、おのずと対策を立てることが可能となります。

我々の経験でも、ある地方自治体の医療機関(町に唯一の病院) で、医師募集をお手伝いしたプロジェクトですが、1年以内に医師の過半数が辞めてしまうということから、その採用のお手伝いをさせていただくことになりました。
その時、このマーケティング的な考え方を活かして、病院の魅力を調査・整理し、それを全面に打ち出した採用活動を行ったところ、結果として辞める分の医師を全て集めることができたのです。
このときに言及した魅力は、病院と町民とのしっかりとした信頼関係、地域医療に根差した活動、また田舎であるがゆえに豊かな自然環境などです。
つまり、きちんと病院の特徴を認識・整理して、魅力的に見えるようにPRすることにより、スタッフがそこに魅力を感じて集まってきてくれたのです。

マクロ的には人材不足であることは間違いない医療業界ですが、それぞれの医療機関の創意工夫によってスタッフ募集も少し差をつけることが可能になります。
この少しの差が、募集においては大きな差となりますので、改めて現在の募集方法や募集文句を見直していただくとよいのではないかと思います。

次回は、人事考課と人間関係について、お話をしたいと思います。

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≪医師向け「簡単」経営講座≫

このたび、メディヴァでは医師のために実践的な経営講座を開催します。

一昔前とは異なり、医師にも「経営」の知識は必須となりました。
生き残るためにも、「医は仁術」を全うするためにも、「経営」知識が求められます。
最近は「経営知識を習得するためにはMBA(経営学修士)を取得したほうが良いのか」であるとか、「コンサル会社に勤めてみたほうが良いのか」というご質問を受けることもあるのですが、そこまでの必要はありません。
経営に関する本は多く有り、その気になれば夜間、休日に独学することも可能です。

しかし「どこから始めたら良いか分からない」とか「本の知識は実践に役立たない」という方も多いかと思います。
そういう方のために、メディヴァでは「経営のとっかかり」を学ぶ3日間、6コースの経営講座をご用意しました。

「経営」とは「コストをカットする」ことではありません。
投資、コストと収益、付加価値のバランスを程よく保ち、健全なる再生産を確保することが「経営」です。

また、この講座は出来るだけ「実践的」であることを目指しています。
例えば、「人事労務実務」でしたら、「人事制度とは」という理論ではなく、日常の経営で直面するであろう課題(例えば、ボーナスはどう決めたら良いのか?、働かない従業員に退職してもらうには?等)を中心に講座を組み立てています。是非この機会にご参加下さい。

・対象者:医師、医師の家族、医学生
・日程と講義内容
第1回目 10月5日(日) 13:30~17:00 
コース1:ロジカルシンキング 
コース2:事業計画策定
講師:メディヴァ取締役小松、コンサルタント飯塚

第2回目 11月9日(日) 13:30~17:00
コース3:人事労務実務
コース4:ケーススタディ(病院)
講師:聖路加国際病院 渡辺氏、
メディヴァコンサルタント(社会保険労務士)津田

第3回目 12月7日(日) 13:30~17:00
コース5:マーケッティング&コミュニケーション
コース6:ケース(診療所)
講師:メディヴァ大石、
京都産業大学経営学教授(医師)田中伸明先生

・場所:メディカルプリンシプル社セミナー室
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-59-4 クエストコート原宿
・受講料:全コースで12万円
・定員:16名(予定) 懇親会も実施します。

今後メルマガ、HP上で詳しい情報を配信します。ご興味のある方、ご質問はメディヴァまでお願いします。

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◆メディヴァ NEWS◆ 特定健診・特定保健指導が始まりました!

今年4月からいよいよ特定健診・特定保健指導が始まりました。
病院やクリニックでも、地区医師会を通じて、もしくは直接、特定健診・特定保健指導機関として届出をされていらっしゃるところが多いのではないでしょうか?(ちなみに世田谷区では現在440の医療機関が機関登録されています。)一部の登録医療機関では、既に「特定健診を受けたいのですが」というお問い合わせや、実際に特定健診の受診が始まっているところもあるようです。

メディヴァでは、ネットワーククリニックのニーズを受けて、管理栄養士が様々なクリニックに出向いて外来栄養指導を実施するサービスを提供してきました。
平成17年度には経済産業省から「産業創出支援事業」の一環として補助金をいただき、主に生活習慣病患者向けの効果的な栄養指導プログラムを構築しました。
そのプログラムを応用し、既に平成19年度より健康保険組合で特定保健指導トライアルを実施し、本番となる平成20年度は、既に10を超える健康保険組合、その他企業、自治体、医師会等より特定保健指(対象者数として約3,000名)の委託を受けています。

今後、自院で特定保健指導を実施されたい病院やクリニックに対し、下記のサービスを提供していきます。
1.特定保健指導サービスの業務委託
(「管理栄養士+プログラム」の提供+データ報告業務)
2.既存スタッフ(保健師、管理栄養士)へのノウハウ研修
3.その他保健指導の実施、準備に関する様々なサポート、コンサルテーション

また、特定健康診断や婦人科、乳腺等のオプション健診を受託されたい医療機関には健保組合からの受診者紹介も行なっています。

健康診断、保健指導実施に関するご相談は下記までお願いいたします。

メディヴァ 保健事業部 安宅雅美
Tel 03-3709-2881
Email: kenko-service@mediva.co.jp

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◆巻頭コラム◆

皆様 こんにちは!

4月の診療報酬改定における一番のトピックスは「後期高齢者医療制度」ではないかと思われます。
発表と共に名称が「長寿医療制度」に変わり、年金問題に引き続く形で保険証が届かないという事務ミスが相次ぎ、その後も抗議が相次ぎ、このメルマガが出る頃には廃案になっているのではないか、とまで思われるほどです。

今回の「後期高齢者医療制度」に関しては、高齢者が重複受診をして却って健康を害さないよう主治医を決める、であるとか、支払能力のある高齢者には保険料を負担頂くであるとか、考え方としては評価されるべき点も多くあったと思うのですが、作り込みが粗雑であった、根回しが不十分であったことが決定的な落とし穴だったと思われます。

一方、本制度の問題として「高齢者から(天引きで)保険料を徴収する問題」、
「主治医制等の医療制度の問題(受診機会が得られないの では?)」、
「診療報酬の問題(安すぎる)」、「事務ミスの問題(保険証が届かない等)」、
「名前の問題(高齢者に失礼だ!)」が混在して語られていることには、大きな違和感を覚えました。

根源的な問題は、現状の医療保険制度が財政的に限界が来ていることだと思います。
75歳以上の高齢者は人口の約1割であるのに、使用する医療費は全体の3分の1。
しかも全体が3.2%で伸びているのに対し、5.7%の伸びを見せています。
今後高齢者が増えていき、現行の医療保険財源では「保たない」なかで、高齢者にも負担をして頂く、ある程度受診制限をするなどの「荒技」を使わないと、限界に来ているということではないでしょうか。

「後期高齢者医療制度」は問題があるにしても、現行の枠組みを是とするのであれば、同じくらい「荒技」的な代替案が必要となります。
「後期高齢者医療制度」の是非を問うことも必要かもしれないですが、今本当に必要なのは、安心して良い医療に掛かり続けるためには、「本当に幾らの財源が必要なのか」、ということを本格的に検討することと、それをどう確保するかをゼロベースで考えることではないでしょうか。

先日、私の前の職場であるマッキンゼー社がシンガポールで開催した、アジア6カ国(日本、韓国、中国、シンガポール、インド、オーストラリア)のヘルスケア会議に出席させて頂きました。
そこで同社が発表していた試算によると、高齢化や医療技術の進歩により、今後必要となる医療費総額は、2020年には62兆、2035年には92兆と政府の予測を上回るとのことです。
その金額を現在と同じ財源に頼るとすると、収入増を見込んでも2020年には19兆、2035年には43兆円が足らなくなるそうです。
この差分を税金で埋めるか、民間保険で埋めるかは議論があるところですが、「診療報酬の適正化」で達成できるような生半可な金額ではないことを理解しつつ、現実的な方策を探る事が必要になってくると思われますが、いかがでしょうか。

( 代表取締役 大石佳能子 )

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