No.010(2006/07/05)

2006.07.05



目次




ご挨拶

夏らしい暑い日々が急に来ましたが、いかがお過ごしでしょうか?6月は診療報酬改定の余波を受け、メディヴァでは忙しい日々が続きました。

経営が厳しくなった療養型病院や中小病院では、再生や閉院のお手伝いをさせて頂きました。一方、診療報酬が厚く配分された在宅療養支援診療所では仕組作りを手伝っています。

ある調査によると全国の約8.7%の診療所が在宅療養支援診療所の届出を出しており、一番高い長崎県(15.2%)から一番低い富山県(3.4%)の間では5倍の開きがあります。

しかし、どう考えても全国の約1割の診療所が、届出要件である24時間、電話、往診、緊急入院手配対応が出来るとは思えないのですが、いかがでしょう?

届出を出して、その後実態を整備するということなのかもしれませんが、それなら尚更、体制整備が急がれるのではないでしょうか。

( 代表取締役 大石佳能子 )

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新規開業 / 成功する人、しない人

同じ医師でも、「サラリーマン」である勤務医と、「起業家」である開業医は全く「異なる職種」とさえ言えます。勤務医は、病院の看板のもとで診察し、機材も人も病院のものを使います。診察する患者の数が多くても少なくても、給料は大きく上がることも下がることもありません。一方、開業医は「自分」の看板で患者を呼び、ヒト・モノに投資をし、成功しても失敗しても自分に跳ね返ってくることになります。開業して成功する人と失敗する人の分かれ道は、「起業家」になり切れるかどうか、に尽きるのかもしれません。
そこで今回は、成功する開業(=起業)の5つのポイントを挙げてみたいと思います。

◆ 1) 「商品」に魅力があるか
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どんな事業であったとしても商品に魅力がなければお客さんは来ません。開業医の場合、「商品」とは自分の医療サービスということになります。ただ、ここで注意をしなくてはいけないのは、医療技術は医療サービスの核ではありますが、全てではないという点です。特にクリニックの場合、大病院とは異なり患者さんはサービス的な要素をも求めて来院します。この場合の「サービス」とは、何も特別なことではありません。中でも最も重要なのは、先生とのふれあいやコミュニケーションです。いくら腕が良くても、患者さんへの共感が薄い医師や、患者さんと一般的な会話が出来ない医師は、開業医としては成功しにくいようです。そういう意味では、医師や医療界以外の人とも会って、見聞、経験を広めることも開業準備時には必要だと思います。

◆ 2)「患者ニーズ」に合わせられるか
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開業医として成功する医療サービスは、その時々の患者ニーズに合致していることが求められます。クリニックは収入の大部分が診療報酬に依存しているため、保険制度に反映された「患者ニーズ」を捕らえることは必要条件になります。例えば、昨今は病院における入院を減らして、在宅における療養を増やす傾向にあるので、在宅医療への対応は開業医にとって大きな核となると思います。

またこのとき必要なのは、2年に一度の診療報酬改定に一喜一憂することではなく、大きな時代の流れ(入院から自宅療養へ、効果が見えにくい医療の削減、薬を用いた治療から生活習慣の改変による根治へ、等々)を理解する必要があります。

◆ 3)「事業」としての組み立てができるか
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「開業」は「事業」を起こすことですから、「事業」としての組み立てが出来ていることが必要です。「事業」としての組み立てとは、主として立地戦略、投資・コスト戦略を意味します。

まず立地に関しては、「憧れの立地」と「成功する立地」は異なることを肝に銘じておかなくてはいけません。診療所の増加が著しい昨今でも、診療圏内に患者はあふれ全く競合医療機関がない地域はまだ存在します。しかしながらそれらの多くは、決しておしゃれな地域でもなく、自宅近辺でもなく、住宅地としては人気が下がる郊外の立地であることもあります。成功を目指すならば、「憧れの立地」にとらわれるべきではありません。

また投資・コストは、一概に絞ることが目的ではなく、収益性との「バランス」が大事になります。当社が開業支援をさせて頂いたクリニックでも、医師が臨床以外にも研究、家族にも時間を使いたいと思った結果、収益性が低くても成り立つように極端に投資を抑えて成功したケースもあれば、市場性があるため数億円を投資し、毎日500名以上の患者が来院して成功したケースもあります。

◆ 4)「組織作り」が出来ているか
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クリニックは医師一人で運営するものではありません。看護師、事務等のスタッフが居て初めて成り立つものです。スタッフのモチベーションや、患者サービスは、クリニックの成功を大きく左右します。例えば、クリニックに初めてかかろうと思う患者さんはいきなり来院せず、まずは電話などで様子を聞きます。その時につっけんどんに返事をしてしまうと、その印象がクリニック全体の印象となってしまい、来院を阻止してしまいます。院長が明確なビジョンを持ち、細かいことまで気を使い、従業員を指導し、最終的にはスタッフ同士が研鑽し合う「組織作り」が理想です。

当社の経験では、スタッフの意識が高く、研鑽を積んでいるクリニックほどスタッフ満足度が高く、スタッフ満足度が高いクリニックほど人件費は低いようです。これは、給与で引き止めなくても、スタッフが居続けたい「組織作り」が出来ているからです。

◆ 5)「頑張る」ことができる
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開業当初、患者数も少ない中でもどれだけスタートダッシュをかけて頑張れるかは、クリニックの長期的な勢いを決めます。患者さんの印象、院内の組織文化は開業当初の1年間で決まってきます。開業して数年経ち、経営も安定した時期にも、細かいことにも気を使いながら、常により良い医療と患者サービスを目指して頑張れるかは、地域におけるクリニックの位置づけを決めます。
一旦開業したら、通常は20年、30年、辞めることは出来ません。
何十年も頑張れるかどうかが医師としての人生を決めます。そういう意味では、成功のイメージ、ビジョンを開業当初から明確に持つことが重要です。成功の定義は一つではありません。自分に合った成功を目指し続け、頑張れることが最終的に成功に繋がる最も確実な方法であると言えます。

( 代表取締役 大石佳能子 )

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連載 開業プロセスと成功するポイント <事例>「コンセプトを反映したクリニック」

これまで、コンセプトや"売り"をどのように作り、どのように実現させていくかというお話させて頂いてきました。ここで、3つのクリニックの事例をご紹介したいと思います。

これらのクリニックは、最近、当社が開業のお手伝いをさせて頂いたクリニックです。それぞれにコンセプトや"売り"が異なるため、結果としてかなり雰囲気の異なる3件のクリニックになっています。今回は内装やインテリアなどの全体的な雰囲気から、コンセプトを実際に上手に反映させた事例として、ご紹介したいと思います。これで、"思い"を実現するという例を具体的にイメージしていただけるのではないでしょうか。

<事例紹介>
◆ A.肝臓がご専門の消化器内科
~ 大人のための落ち着いた内科 ~

◆ B.地域密着の小児科
~ 居心地のよい地中海のテラスハウスのような小児科 ~

◆ C.専門性が極めて高い児童精神科
~ 子どもが安心して遊びまわれる児童精神科 ~

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◆ A.肝臓がご専門の消化器内科
~ 大人のための落ち着いた内科 ~
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 1件目は、田園都市線の梶ヶ谷駅近く、駅からのメイン通り沿いで郵便局や農協、銀行に隣接する消化器科内科です。患者さんの対象が肝臓を中心とした消化器全般の方々であることもあって、落ち着いたシックな内装に仕上がっています。
天井高は約3m、入って右手にはガラス張りのバルコニーのような待合室になっていて、観葉植物が取り囲んでいます。床はビニールではなくほぼ本物を用いたフローリングを用いており、受付カウンターには、特別に選んだ素材(木)を何度も職人がワックスがけした板が重ねられています。壁は、床から腰高までは木、腰より上は水色のペンキと、色合いが地中海風をかもしだしています。
家具には北欧からの輸入品を取り入れ、室内のアクセントとなっています。先生が特に力を入れたトイレは、底が浅く広い洗面台と、正面・左右に鏡張りを行い、ドアノブ・便器の一つ一つにこだわりが見られます。
全体として感じるのは、落ち着いた大人の空間です。自分の本を持ってきて、待合時間中に読書を楽しむくらいの余裕ができるかもしれません。

▼ そめや内科クリニック
http://someya-clinic.jp/

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◆ B. 地域密着の小児科
~居心地のよい地中海のテラスハウスのような小児科 ~
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 2件目は、古都鎌倉の駅前、週末には数多くの観光客が目の前を行き来している場所に立地する小児科です。近所の病院にお勤めだった先生がご開業されたのですが、とても海が好きな先生らしく、室内は地中海風とも海辺の別荘とも見える雰囲気になっています。床・壁・天井が白と青を基調に構成されており、床のフローリングも白っぽいもので大変明るい室内です。もともとの天井高は2mそこそこで高くないのですが、天井を取り除いて屋根まで吹き抜けにした結果、広がりと趣のある空間が生まれました。小児科であることもあり、室内はあまりパーティションで区切らずに一つの空間として診察室・処置室・検査室がつながっています。
先生も大人も子どももあちこちに自由に動きながら診察ができそうなイメージです。インテリアはアンティーク調で、物件自体が元々持っている風合いとマッチして、新規開業なのに、落ち着いた雰囲気を作り出すのに成功しています。また、このクリニックは電子カルテがMacintoshのWINE Styleです。私自身はWindowsユーザなのですが、Macの白くてまぁるいディスプレイやマウスはPCの機械的な雰囲気を脱して、インテリアとしても機能しています。

▼ 医療法人プラタナス 鎌倉アーバンクリニック
http://www.kamakura-urban.ne.jp/

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◆ C. 専門性が極めて高い児童精神科
~ 子どもが安心して遊びまわれる児童精神科 ~
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 3件目は、世田谷区の閑静な住宅街、その中でも尾山台駅前の賑わいある商店街に位置します。精神科ということで、入口はわかりにくく奥まっていますが、入口を入って階段をあがってクリニックに入ると、その内装に驚かされます。精神科として落ち着いたイメージかと思いきや、全くの逆で、明るい色彩をふんだんに取りつつ、穏やかな雰囲気を醸し出しています。待合室はグレー、子どもの遊び場(アルコープ)はグリーン、診察室は青とスペースごとに色彩にテーマがあり、心理検査室はなんと赤です。赤は医療機関では敬遠される色ではありますが、彩度を落として穏やかな雰囲気を維持しています。クリニック自体は比較的小さいスペースで天井も2mほどと低いのですが、それが逆に全体の雰囲気をくるまれているようなイメージにしており、友人の家に遊びに来たかのような落ち着きがあります。

これらが相まって、精神的に不安定になっている子ども達も安心して落ち着ける、何かに守られているようなイメージを与える空間です。

▼ 尾山台すくすくクリニック
http://www.oya-suku.com

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これら3つのクリニックから、コンセプトの違いをイメージしていただけたのではないかと思います。対象となる患者さんのイメージ、立地との関係性、設計・施工を手がけた建築家や施工業者、そして何よりも先生のお考えが上手に反映された結果、見事にそれぞれの味のあるものができあがっています。

このように、クリニックのコンセプト、"売り"を充分に練り、それを反映させるように投資のバランスを整える。この結果、医師やスタッフにとっては楽しく勤務できる職場、患者にとっては通いやすい空間が生まれるのだと思います。

( 取締役・コンサルティング事業担当 小松大介 )

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7月15日(土)開業支援セミナー

◆ 日時: 2006年 7月 15日(土) 15:00 ~ 17:00

◆ 場所:用賀アーバンクニック(世田谷区用賀2-41-18 1階)
東急田園都市線 用賀駅(渋谷より11分)、駅1分
地図 → http://www.plata-net.com

◆ 参加費:無料

◆ プログラム
第1部 開業の実例「用賀アーバンクリニック」(院内見学あり)
  副院長 田中 勝巳

第2部 新規開業のプロセスと成功のポイント
(株)メディヴァ 代表取締役 大石 佳能子
(株)メディヴァ 取締役
・コンサルティング事業部長 小松 大介

※ご希望の先生には、弊社のコンサルタントが個別にご相談させて頂きます。お気軽にご参加ください。

※ 詳細は、こちら
http://www.plata-net.com/ppm/news/2006/06/post_19.php

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メディヴァ HOT TOPICS!

▼ 学会発表、雑誌寄稿
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 ─ 第8回 日本医療マネジメント学会 学術総会 ( 6/16)
http://www.8thjhm.org/
◆ 「メディカル・コンシェルジュ」という取り組み
◆ 食事・生活習慣文責に基づいたオーダーメイド栄養相談

 ─ 月間シニアビジネスマーケット (2006/6月号)
 「コミュニティ資源としての「注目」医療サービス(7)」
ファミリーメンタルクリニックまつたに

▼ 新聞・雑誌掲載、TV放映
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 ─ 朝日新聞 be on Saturday ( 6/ 3)
「患者の立場からいまの医療を変えたい」
フロントランナーのコーナーにて特集頂きました
http://be.asahi.com/20060603/W11/20060523TBEH0020A.html

 ─ 朝日新聞 ( 6/ 8)
西日本シティ銀行と協力・新規開業医向けに新融資

 ─ 日経産業新聞 ( 6/ 9)
「メディヴァ、患者カルテ閲覧、ほぼ全種類OK。」

 ─ 日本経済新聞 ( 6/19)
 「病院や診療所 患者の立場で満足度向上」のコーナーにて、用賀アーバンクリニックにおける弊社のオープンカルテ、コンシェルジュサービスといった事例が取り上げられました

 ─ 人間会議(株式会社 宣伝会議) (2006年夏号)
<チャレンジ・スピリット challenge spirits>
◆仕事は無から有を作っていくもの  大石佳能子
http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/ningenkaigi/

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編集後記

6月初旬、朝日新聞土曜版の人物特集に、写真入りで載せて頂きました。さすが朝日新聞で、反響がすごく、その後HPアドレスを通して、 感想やご質問や採用へのご応募の連絡を多数頂きました。
感想を拝見していて、一般の方々の医療への関心が高いことに改めて驚かされました。これからも、励ましの声を思い出しながら、頑張っていきたいと思います。どうか宜しくお願いします。

(大石)

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