管理栄養士による
すこやか栄養コラム

摂り過ぎ注意!運動する人のたんぱく質

2014年05月24日(土)


近年、スポーツクラブも増え、ウォーキングやマラソンを始めるなど健康を意識して運動する方が増えてきました。
それと同時にスポーツ用品売り場でも、スポーツクラブでも「筋肉増強のために」と『プロティン』や『アミノ酸』をすすめられることが多くなってきています。

プロテインとは、アミノ酸が結合してできるたんぱく質のことで、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルという栄養の五本柱の一つの栄養のことを指しています。

このたんぱく質は、毎日、毎食欠かせない栄養のひとつですが、運動をするからと言って必要以上にとると健康を害することがわかっています。
  
そこで今回は、運動とたんぱく質の摂取についてお伝えしたいと思います。

●たんぱく質の働きと必要量

たんぱく質は主に肉や魚、大豆製品や乳製品などに多く含まれる栄養で、筋肉・血液・臓器・皮膚・髪・爪などの材料になります。
ですから野菜ばかりの食事では、運動に大切な筋肉量は減ってしまいます。
またその他の働きとしては、酸素や栄養の輸送や貯蔵をしたり、インスリンや成長ホルモンなどのような生理機能の調整をしたり、病気にかかりにくくするなど私達が生きていく上で最も大切な働きをしています。

1日に必要な量は「体重1kg=たんぱく質摂取量約1g」です。
しかし、激しい運動を長時間しているスポーツ選手などは、運動による損失量が多いため「体重 1kg=たんぱく質摂取量約1.5g~2g」と少し多めが必要とされています。

一般的な食事で表すと1日に卵1個、納豆1パック、鮭1切れ、鶏肉(から揚げ2個分ほど)これにごはん1杯ずつを3回(ご飯にも1杯4gほどたんぱく質はあります)で合計約60gのたんぱく質量となりますから、体重60㎏の方は1日にこの量で充分です。
これにヨーグルトや牛乳、あるいはご飯をもう1杯食べている方は適量以上(過剰)にとっていることになるわけです。
  
●たんぱく質摂取上の注意

例えば、鶏肉を食べた場合、鶏肉のたんぱく質のまま筋肉に利用するのではなく、鶏肉のたんぱく質をアミノ酸までバラバラに分解してから筋肉たんぱく質などの体を構成するたんぱく質を最初から作っていきます。

吸収されたアミノ酸は、筋肉や血液の材料になり、一部のホルモンの体内たんぱく質の合成に使われます。

しかし、たんぱく質をたくさんとれば、それだけ筋肉が作られるわけではありません。
筋肉は運動が伴わなければ太くなったりはしません。

焼肉屋に行ったときなど過剰に肉を摂取すると翌日便臭が強くなります。
これはたんぱく質を摂り過ぎたために、小腸で吸収されず、大腸まで送られてしまうためです。

しかも、エネルギーとして使用される時はたんぱく質1gあたり4kcalになります。
ですから必要以上に摂って、消費するだけの運動が不足すれば、脂肪となり、 体に蓄えられます。
また、余った分は、血液中の中性脂肪も増やすことになります。

『プロティン』として売られている商品は粉末になっているものが多く出回っていますが、これらを利用し始めて体重が増えてきた場合、「筋肉がついて重くなった」と思っている方も体重だけでなく、 体脂肪率などでチェックしてみることをおすすめします。 

負荷をかけて、時間や強度を上げたトレーニングをしている方はたんぱく質の消耗も多くなりますが、特に中高年では、筋肉ではなく脂肪が増えているという場合も多く見受けられます。
『プロティン』など粉末のものを牛乳に溶かして飲むと、牛乳からもエネルギーとたんぱく質の両方を補給することになります。
高価なものほど効果を期待してたくさん利用されている場合がありますが、筋肉は食事だけで増えるのではなく、筋肉をしっかり使う運動をしなければどんなに良いものでも効果は期待できません。
運動後時間が経ってからよりも、運動直後の方が効果的ですが、その運動強度や時間があまり多くなければ1日の必要量を超えることになりやすいので、その後にとる夕食や間食で摂り過ぎないよう注意が必要です。

たんぱく質をアミノ酸に分解すると窒素というものが生じます。
この窒素は肝臓で処理し、腎臓から排泄するので、必要以上に摂取することは肝臓や腎臓に負担をかけることになります。
 動物性のたんぱく質は、摂り過ぎると尿が酸性化し、尿中カルシウムが増加して尿路結石や骨粗しょう症などのリスクが高まることになります。

たんぱく質は不足すると筋力や体力が低下したり、免疫力を弱めてしまったり、回復が遅くなるなど体に影響が出やすくなります。
また、高齢者は同じように摂っていても合成されにくいということもあるので肉や魚など積極的に摂取することは大切です。
しかし過剰でも肥満や病気の原因になることがあるので、運動の種類、頻度や強度や時間によっては、過剰に肉やヨーグルトを食べたり、水分補給に牛乳やプロティンを飲むことなどは避けましょう。
治療中の方や健康診断で何らかの注意が必要とされた方で、プロティンなどの利用をしたい場合は、医師、または栄養士にご相談されることをおすすめいたします。 

 (管理栄養士 蛯原 啓子)