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「904億円基金」の行方と自治体に求められること|MEDIVAの在宅・地域包括ケアコンサルティングブログ

2014年11月18日

企業・行政コンサルティングチームの村田です。

 

 20141017日、厚生労働省は「新たな財政支援制度における基金の配分」を都道府県に内示しました。消費税増収分544億円、その他の一般会計からの上乗せ分360億円で計904億円の予算(2014年度)が計上されていることから、「904億円基金」とも呼ばれています。

本基金は社会保障制度改革国民会議の20138月の報告書で「今後の医療・介護サービス提供体制の改革は、診療報酬や介護報酬だけではなく、"基金方式との適切な組み合わせ"で進めること」と提言されたことをうけて、創設されました。

 対象となる事業は以下の3事業とされており、

 

団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた「医療・介護サービスの提供体制の拡充」を強く意識したものであることがみてとれます。2009年の補正予算からスタートした「地域医療再生基金」が、救急医療や災害医療対策の拠点整備等といった、言い換えれば各地域の「1点集中」的な性格が強かったのに対し、本基金は全く発想が異なり、地域包括ケアシステムの構築に向けた全体的な底上げを狙ったものであるといえます。従来は箱モノへの補助が多くありましたが、今後は、本基金のような各種運営費用などソフト面への補助が多くなると想定されます。

なお、本基金の2014年度の対象事業は「医療」に関する事業が対象であり、「介護」に関する事業は2015年度からの対象となっています。

【基金の対象となる事業】

1)病床の機能分化・連携のために必要な事業

2)在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業

3)医療従事者等の確保・要請のための事業

 

さて、都道府県毎の内示金額を見てみると、

最高額は東京都の約77.3億円、最も少ないのは高知、佐賀両県の約8.0億円で東京都の1割強にとどまっています。東京都に続いて金額が多いのは大阪府の約49.5億円であり、兵庫県の約39億が次に続く。一方、少なかったのは高知、佐賀両県のほか石川県の約8.1万円、福井、愛媛両県の8.4億円であります。

各都道府県の配分額について厚生労働省は「人口や高齢者増加割合などの基礎的要因」だけでなく、「都道府県計画の評価などの政策的要因」を考慮して決定したとされています。

 

四国地方内の愛媛、徳島両県で内示金額を比べてみると、

愛媛県は高齢者人口が約42万人と徳島県(約23万人)の約1.8倍(高齢化率は両県ともに約30%であり、2040年までの進展率もほぼ同じ)であるにもかかわらず、内示金額(8.4億円)は徳島県(17.8億円)のなんと半分以下になっています。このことから、本基金は人口動態等を基にした画一的なバラマキ施策ではなく、都道府県が策定した計画に対する評価に基づき配分されているものであることがわかります。

つまり、上記の例では、徳島県は策定した計画がしっかりと評価されたからこそ、基金を比較的多く勝ち得ることができたといえます。このように本基金は基金活用の自由度が高い分、各都道府県の実力の差が結果としてはっきりわかる性格のものといえます。

※ちなみに徳島県と高齢者人口および高齢化率がほぼ同じ高知県の内示金額は上述したと

おり、約8.1億円(徳島県の半分以下)

 

2025年に向けて本基金は毎年継続する(金額は国全体の予算編成の過程で決定)といわれており、医療・介護サービスの提供体制の拡充に必要な基金を毎年継続的に獲得していくためには、都道府県および市町村に質の高い計画策定力が求められます。しかし、自治体担当者様からは「どのように計画を立案してよいかがわからない」、「まず何をすべきかがはっきりしない」といったお声をよく耳にします。

 

株式会社メディヴァでは、複数の自治体において地域包括ケアシステム構築のお手伝いを行っております。支援の際は何よりもまず、「高齢化によってもたらされる将来の需要推計」と「現状の供給状況の把握」を行い、そのギャップを正確に抽出することから始めます。

この数字ベース、ファクトベースでの調査結果の提示によって、関係者(行政、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、病院団体等)共通の課題意識と目標の共有を可能にし、「わだかまりもあれど、まずは話し合いましょう」というキッカケとして機能します。

現状の把握には、関係者へのヒアリング調査や、アンケート調査なども行いますが、インパクトがあるのが、自治体が保有している「死亡診断書データ」の分析です。この死亡診断書データは、人口動態調査死亡小票とも呼ばれ、統計法に則って、自治体から厚労省へ利用申出することで、分析にかけることが出来ます。

※上記初期調査方法も含めた、メディヴァの地域包括ケア構築支援について興味のある方

は→こちらをご参照下さい。

 

地域包括ケアシステム構築支援の経験から、各自治体担当者様には「①各種データに基づく地域の医療・介護ニーズや医療・介護資源に関する現状分析、将来予測等を行うこと」そして、「②可能なものについては定量的な目標を定め、計画期間の年度ごとの進捗管理を適切に行うこと」、「③設定した目標の達成に向けた必要な事業の企画立案を行うこと」が求められていると考えます。

株式会社メディヴァでは、これまでの知見やノウハウを活かして様々な確度から自治体担当様へのご支援を行ってきましたが、今後、医療・介護サービスの提供体制の拡充が求められる中、ファクトのきちんとした分析の重要度が益々上がってきていると思われます。

 

以上

 

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