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在宅支援診療所に求められる"24時間・365日対応"について|MEDIVAの在宅・地域包括ケアコンサルティングブログ

2013年10月30日

在宅医療コンサルタントの村田です。

 

在宅支援診療所(以下、在支診)に求められる"24時間・365日対応"を負担なく行うにはどのような工夫が必要なのでしょうか。

 

今回、株式会社メディヴァでは、『在支診の"24時間・365日対応"における課題の抽出および負担軽減策の検討』を目的に東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県内の無作為に抽出した500ヵ所の在支診に対してアンケート調査を実施し、60の医療機関から回答を得ました。この調査結果等を踏まえつつ、"24時間・365日対応"の負担軽減策について考察したいと思います。

 

在支診とは2006年に高齢者が看取りまでを含めたトータルなケアを住み慣れた自宅や地域で受けられることを目的に創設された在宅医療の中心的な役割を担う診療所です。

 

在支診には24時間体制で患者・家族からの連絡を受け、必要な場合は往診や訪問看護を提供するといった高いレベルのサービス提供が求められています。その代わり、診療報酬上で他の医療機関よりも高い点数が算定できる項目などが設定されています。なお、2012年7月時点での在支診数は13,758件であり、約10万件あるとされている診療所全体のわずか14%と低い数値に留まっています。

 

1. 在支診にとって"24時間365日対応"は大きな負担


在宅療養支援診療所(以下、在支診)に求められる"24時間・365日対応"は、医師が在宅医療に取り組むうえで大きなハードルとなっており、在支診の普及が進まない最も大きな理由と言われています。

 

事実、2012年に日本医師会総合政策研究機構が行った『診療報酬改定についての調査結果報告』によると、在支診の届出を行わない理由の上位1,2位に「24時間訪問看護の体制を確保できない(約65.3%)」、「24時間往診が可能な体制を確保できない(約52.3%)」が挙げられています。


このような状況から、2012年度診療報酬改定で機能強化型在支診が創設され、複数の医師(医療機関)が協力して"24時間・365日対応"をとることがすすめられるようになりました。それにより、医療機関1カ所あたりの負担を軽減し、より多くの医療機関の在宅医療への参画を促すことで、看取りや24時間・365日対応の充実を図ろうという考えです。なお、2013年7月1日時点では約20%の在支診が機能強化型の届出をしています。

 

2. 在支診に求められる24時間・365日対応とは


在支診に求められる"24時間・365日対応"には大きく「コール対応」と「緊急往診対応」の2つがあります。

 

「コール対応」とは患家や施設などからかかってくる電話への応対を指し、「緊急往診対応」とは患家や施設からの求めに応じて診療に赴くことをいいます。電話対応や予定外の訪問診療の実施といった肉体的負担だけでなく、電話がいつかかってくるかわからないという心理的負担も大きくかかります。

 

今回のアンケート調査では、夜間・休日のコール対応、緊急往診対応に約半数の在支診が負担を感じており、特に外来を中心に行っている在支診ほど、強く負担に感じていることがわかりました。なお、アンケート調査にご協力頂いた医療機関における患者1名あたりの平均コール数および平均緊急往診数は以下のとおりです。


(1)コール数


患者1名あたりの月平均コール数は約0.13件。患者数規模が同じ在支診でも診療所全体のコール数にバラつきが見られることから、コール数は患者の疾患種類やその割合等といった要因に大きく左右されるものと推察できます。なお、約半数以上の在支診が緊急コール専用番号を設定しており、患者数が多いほど緊急コール専用番号を使用している割合が高くなる傾向にありました。


(2)緊急往診数


患者1名あたりの月平均緊急往診数は約0.05件。看取り数が多いと緊急往診数も多くなるのではと推測しておりましたが、看取り数が50名/年以上の在支診の月平均緊急往診数は約0.05件(全体平均と同じ)であり、有意差は認められませんでした。なお、コールに対する緊急往診の割合は約50%と高いことがわかりました。

 

3. 負担なく"24時間・365日対応"を行っている在支診の特徴


アンケート調査にご協力頂いた医療機関の中には、"24時間・365日対応"を負担なく行っている在支診が複数見受けられました(回答医療機関の約35%)。それらの在支援の特徴としては、以下の項目があげられます。


(1)無理のない患者数設定


負担を感じていない在支診の常勤医師1人あたりの平均患者数は約45.2名であり、負担を感じている在支診(常勤医師1人あたりの平均患者数:約86.4名)のおよそ半分であることがわかりました。このことから、担当する患者数が適正かどうかを見直すことは非常に重要であると考えます。なお、医師1人体制で在宅医療を無理なく行える患者数は約60名と言われています。


(2)非常勤医師の活用


   非常勤医師をコール体制および緊急往診対応体制に組み込むことにより、負担度合いが軽減することがわかりました。このことから、非常勤医師によるコール対応および緊急往診対応を可能にするための仕組みを構築することは、負担軽減に有用であると考えます。


(3)看護師および事務の活用


負担を感じていない在支診は医師以外(看護師および事務)によるファーストコールの対応割合が約30.4%と負担に感じている在支診(約16.7%)よりも高くなることがわかりました。このことから、ファーストコールの持ち回りに看護師や事務といった医師以外のスタッフを加えることは、負担軽減に寄与するものと考えます。


(4)モバイル端末の利用


コールおよび緊急往診対応時にモバイル端末を利用して患者情報を参照している割合は、負担を感じていない在支診が約26.1%と負担に感じている在支診(約13.3%)よりも高くなることがわかりました。なお、モバイル端末を利用していない在支診のほとんどでは、医師の記憶で対応していることもわかりました。

 

4. 今後の課題


在支診の制度化から約7年、機能強化型の創設から約1年が経過しておりますが、今回のアンケート調査により、医師1人体制で在宅医療を行っている在支診は約45%とまだまだ多いことがわかりました。


既述させて頂いたとおり、2012年度診療報酬改訂で機能強化型が創設され、複数の医師(医療機関)が協力して"24時間・365日対応"をとることがすすめられています。しかし、本アンケート調査では、約41.6%の在支診が機能強化型を届出しているにもかかわらず、コール対応や緊急往診対応を他の医療機関と連携して行っている機能強化型在支診はわずか約4%に過ぎないことが明らかになりました。

 

医師それぞれの考え方や環境要因があるにせよ、国があげた推進策がすすめられているにもかかわらず、これだけ多くの医師が1人での対応を行っている、あるいは毎日オンコールを担当している現状は、さらなる対策や抜本的な見直しが求められている証左にほかなりません。


診療所の常勤医師複数体制化を除けば、診診連携や訪問看護ステーションとの連携が最も有力な対応策であることは論をまちません。しかし、実際には地域ごとの事情、参加する医師たちの意向や事情もさまざまであることから、全国で広く診診連携グループが活動する状況にはいまだ至っていません。

 

診診連携を行うには単に医師同士の協力・連携だけでなく、副主治医の決定方法とその役割、患者情報共有の仕組み、副主治医の待機・出動方法、診療録の作成と副主治医への報酬支払いなどといった多くの事務的な決め事・ルール作りがかかせません。それを診療で多忙を極めている医師同士で行うのは不可能であり、事務的なサポート、運営管理が必要です。

 

株式会社メディヴァでは、今まで知見を活かし診診連携のモデルを構築できればと考えております。是非、今後の取り組みにご期待下さい。

 


 

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