お知らせ

2021/12/06/月

ヘルスケア事業開発

『ニーズ調査から現場トライアルまで』 ~富士フイルム株式会社様の軽量・小型の携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」開発・営業支援プロジェクト~

メディヴァの企業・行政コンサルティングチームでは、上市前の医療機器やヘルスケア関連サービスについて、医療現場でのニーズ調査や営業・プロモーション戦略策定支援などを行なっています。本稿では、富士フイルム株式会社様(以下、富士フイルム様)が開発した携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」の営業販売・プロモーション支援プロジェクトを紹介いたします。

本プロジェクトは高齢化社会における社会課題の解決などがターゲットで、富士フイルム様から同社の技術力・スキルを利用した在宅医療にフォーカスした製品開発支援に関してのコンサルティング依頼を受けたことから始まりました。

高齢化に伴う医療環境の変化を把握

まず、プロジェクトの「フェーズ1」では、高齢化が進む日本における疾病構造の変化や医療政策の転換、在宅医療の現状等について調査を行い、高齢化に伴う医療環境の変化を把握することに努めました。その上で、プロジェクトの「フェーズ2」として、市場調査のため13の在宅療養支援診療所(在宅医療を主に行う診療所)をはじめ、病院や医師会、歯科医など、計25件のヒアリングを実施しました。

その結果、多くの在宅医療の現場で「患者宅でのレントゲン検査実施」のニーズが高いことがわかりました。そこで、在宅医を中心にさらなるヒアリングを実施し、求められているX線機器のスペックや価格帯など、製品開発を進めるにあたり必要な情報を提供することで、富士フイルム様をサポートしました。

新たなビジネスモデル・ターゲットの設定

ビジネスモデルとしては、携帯型X線撮影装置の販売(リース含む)に加え、レンタルや検査 ・健診サービスの展開の検討もサポートしました。

ターゲットは「在宅療養支援診療所(患者数50名以上)」「在宅療養支援病院」「療養病床、地域包括ケア病床を持つ病院(病床100床以上)」と仮定しましたが、その中では特に、日本の在宅患者全体の約80%を担当している”患者数50名以上の在宅療養支援診療所”において「肺炎・骨折・イレウス疑い時に携帯型X線撮影装置を用いて在宅検査を実施したい」というニーズが多く、彼らに製品が受け入れられれば「業界のスタンダード」になり得ると考えられました。

また同時に在宅療養中の患者様がレントゲン検査を行うために、病院などに赴く負担についても大きな軽減にもなると考えられました。

そして、2018年7月、富士フイルム様が開発した携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」が薬事認証を取得しました。

富士フイルム様の技術力の高さにより「CALNEO Xair」の重さは約3.5キロ。くわえてレントゲン撮影において、必ず課題になる被ばく量に関しても、富士フイルムの高感度なデジタルラジオグラフィと一緒に利用する事で、低線量でもクリアな画像が実現され、 在宅医にとって実用的な使い勝手の良さが魅力の製品となりました。

実際に製品を使用した在宅医の意見をフィードバック

薬事認証後、富士フイルム様に再びお声がけいただき、メディヴァは製品の本格発売の前に、在宅医の意見を聞くための現場検証(トライアル)を実施致しました。

トライアルは、弊社の支援先である桜新町アーバンクリニック在宅医療部にて約4週間、診断にレントゲン検査が必要と医師が判断した在宅患者様を対象に実施しました。

実際に「CALNEO Xair」を使用した在宅医からは「その場ですぐに撮影した画像が確認できるので、診断や処方、意思決定が迅速にできる」といった好評価を頂きました。また、レントゲンを撮影するために病院や外来診療所に赴くといった患者様やそのご家族にとっての負担は、本機により大きく軽減できる可能性を示す結果となりました。

2018年にCALNEO Xairは富士フイルム様から上市され、現在、在宅現場で活躍しております。
本機により、在宅医療現場での診療スタイルの変化がもたらされたばかりでなく、患者様やそのご家族の負担軽減が可能になり、富士フイルム様のお力を借り、高齢者ヘルスケア業界において、大きな社会貢献が出来たと自負しております。