コロナ禍における(外来・クリニック)リハビリへの影響と対策

2021.03.19

コンサルティング事業部 早野 惠介

0はじめに

全国的に「不要不急な外出控え」が推奨されている昨今ですが、これにより医療面におけるリスクも増加するものがあります。

  • 不要不急が先行し、受診控えによる患者数の減少。
  • コロナ禍におけるリハビリへの影響とその対策

今回はこの2点に絞って傾向と対策について、説明します。

 

1コロナの影響比較

1.1コロナ前後の患者数と疾患別内容の変化

 弊社支援先の外来リハビリを提供している総合診療のクリニックの患者数を示します。(図1参照)

コロナが流行り始めた2020年3月ごろから見ていくと、患者数は緊急事態宣言の影響もあり、6月にかけて減少傾向でしたが、一旦落ち着いた7月からは増患傾向にあります。その内訳として、脳血管疾患・運動器リハビリの患者、特定疾患の患者の患者をみるとリハビリの患者と特定疾患の患者はコロナの市場変化に影響を受けることが無く、一定数をキープされていることがわかります。

リハビリを提供している外来と内科系のみの外来の違い

この2つの医療機関の違いとしては、リハビリの存在が大きいと思います。

内科系は市販薬で一旦様子見できる患者が一定数いることと、コロナの感染リスク軽減の為、受診を控える傾向にあるではと思います。(受診のハードルが高い状態)

リハビリはセラピストによる施術が必須となり、受診をしないといけない状況になります。またリハビリを受けるには事前に医師による診察があり、そこで内科系の相談も同時にできる為、患者にとってのハードルは内科のみの外来より少ない可能性があります。

 

2リハビリにおけるコロナ対策

2.1他の医療スタッフとの違い

 リハビリにおける患者数はコロナの影響を受けにくいことが判明したのですが、セラピストがコロナにおいてどのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。

リハビリについては1単位20分と他の医療スタッフに比べ、1回当たりの患者接触時間が長いことが特徴です。また、理学療法においては患者の身体を動かし、言語聴覚療法においては発語に関する指導を行うなど患者との距離も近いです。これらから仮に患者が感染者だった場合の感染リスクは極めて高い状態にあります。

2.2リハビリにおける感染対策

 上記の感染リスクを減らすために、ドアノブ清掃などの全体的な環境整備に加え職種別の対策を講じる必要があります。

弊社支援先では、出勤時の検温の実施、1患者ごとにプラットホームなどの機器を清掃・グローブの交換を行っています。また、マスクは常時つけるようにし、食堂では背中合わせになるように机・椅子を設置しています。他に理学療法士や作業療法士はフェイスシールドを使用すると施術において邪魔になってしまう為、メガネをかけて行うようにしています。言語聴覚士は患者の口の動きを評価する必要がありマスクを外していただく必要がある為、スタッフ側のフェイスシールドとアクリル板を設けています。

 

3リハビリに求められていること

3.1短期間で効果的なリハビリの提供

 そもそも、リハビリテーションとはre(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」という意味となり、要約すると「失ったものを取り戻す」という意味になります。

 リハビリを行うにあたり機能回復を患者自身は求めているのですが、医療においては、疾患別に分け、短期間で効果的な回復を国としては推奨しています。回復期リハビリテーション料を算定している病院では、FIMという指数をベースに入院料が決まります。FIMはより短期間(在院日数)で回復度が高い患者が多い場合、数値は高くなり、数値が高い方が入院料も高いという構図になっています。

 外来リハビリにおいては、FIMは求められないのでしょうか。

外来リハビリの立ち位置としては、回復期リハビリと維持期リハビリの中間であると思います。そういった点では、短期間で効果のあるリハビリを提供することが求められています。

3.2受診控えによるフレイル増加

 フレイルとは、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされており、要介護・支援などの支援を必要とする状態と健康で支援を必要としない状態の間の状態を言います。一般的には健康な状態→フレイル→要介護・支援者となってくとされています。

 上記過程を想定すると、フレイルを予防する必要があるのですが、コロナによる外出控えにより、運動量が減り、体力や筋力が低下してフレイルになりやすい傾向があります。

厚生労働省をはじめ、都道府県や市区町村でも啓発活動が行われています。

国立長寿医療研究センターと筑波大学の調査では、2020年1月から4月における1週間あたりの身体活動時間は約60分(約3割)も減少したという報告もありました。

感染予防と身体活動 (ncgg.go.jp)

 とは言え、全国民に「明日から健康になりましょうという」のは、非現実的です。そういった中で、フレイルが増加していくことは容易に想像がつきます。

またフレイル増加により、一旦落ちた体力・筋力を再び強化すべくリハビリのニーズも比例して増加してくことも予想されます。

 

4リハビリの強化対策

 増えるニーズに対し、医療機関側は何をしたらよいのでしょうか。
来院を推奨すべく「連携先の強化」「DXを用いて、日常の段階でリハビリの提供」などがあると思います。
それぞれメリットデメリットはありますが、ざっくり分けると下記の表の様になります。

もう少し具体的に説明します。

・セラピストによる施術中の対応強化:患者にとって一度完治(若しくは部分的回復)されるとリハビリに来なくなる若しくはリハビリをするのが億劫になる傾向があります。そういった際に、次回の予約を事前に取ったり、維持リハビリの重要性の説明を行うことで患者自身を継続的にリハビリ環境に置くことが重要です。これを怠ると患者が再びフレイルになり、ケガをして0からリハビリをスタートしなくてはいけなくなります。

外来リハビリにおける宿題の声掛けも重要です。闇雲に「このストレッチを毎日行ってください。」というと義務感が強くなり患者のモチベーションは下がり、結果宿題をやってこないケースがあります。この場合「このストレッチを行うことで、ここまで動く様になり、以前に行きたいと言っていた○○にも行けるようになります。」とゴールイメージをもって説明することで患者の意欲は変わります。結果として短期間での機能強化につながります。

・DX+遠隔リハビリ:セラピストが主体的になって自費リハを遠隔で提供することで、フレイルの予防と必要であれば、受診勧奨ができます。また、上記の「セラピストによる施術中の対応強化」にも繋がりますが、宿題リハビリをリアルタイムでモニタリングが可能となり、成果に対しセラピストがリアクションすることで患者のモチベーション強化や関係向上に役立ちます。

ただし、対象となる患者は自費リハビリとなる為、もともとリハビリニーズの高い方のみが対象となります。

・連携先の強化:医療機関の近くにある「病院、診療所」だけでなく、「地域包括支援センター」や「居宅介護支援事業所」をリスト化して1件ずつ声掛けし、当院の受診を推奨することで、フレイルになりそうな患者さんを取り込むことができます。一方で、ケアマネや相談員の方々は当該医療機関の機能を不明な場合が多いので、その説明を事前に行う必要があります。

 

5まとめ

各院で増患施策は検討されていると思いますが、コロナの影響により、外来におけるニーズも変化してきていると思います。一方で外来機能でないと患者を回復できない面も露見されたのではと思います。

また、高齢化に加えコロナによりフレイル増加が予想されます。
外来リハビリの重要性は今後も増加していくと思います。
そういった中での外来リハビリとして患者へのアプローチを再度検討して行く必要があると思います。