海外医療の現場から

サウジアラビア女性健康増進事業整備促進プロジェクト①

2019.07.31

海外事業部

コンサルタント 木内大介

メディヴァでは、経済通産省の平成29年度医療技術・サービス拠点化促進事業の一環で、サウジアラビア女性健康増進事業整備促進プロジェクトを行いました。今回から3回にわたり、サウジアラビアにてプロジェクトをすることになった経緯と背景、このプロジェクトを通して明確になったサウジアラビアの医療・健康分野に関連した課題、今後の事業の方向性について説明していきます。

 

きっかけは都内の女性専用健診クリニック

メディヴァが本事業に取り組んだのは、サウジアラビアが抱える医療・健康分野の課題に対し、弊社の医療・健康分野における知見や過去の取り組みが大きく貢献できると考えたからです。弊社は東京都内に、女性専用の健診クリニック「イーク丸の内」、「イーク表参道」、「イーク有楽町」を設立し、運営支援をしています。いずれも女性医師、女性スタッフが運営しています。そしてサウジアラビアの事業における最終目標は、同国で「女性による女性のための」をコンセプトとした健診サービス事業を設立、運営することです。

 

 

平成29年度は、医療需要調査、医療供給調査、各種制度調査、政治環境調査などの事業性調査と事業モデル・スキーム・コンセプト検討、先行事例研究、連携先調査、事業妥当性などの実証調査を行いました。

 

プロジェクトの背景にサウジ・ビジョン2030

本プロジェクトの背景には、サウジアラビアが現在、国として大きく変わろうとしている時期であり、同国と日本政府間の協力関係が進んでいるということがあります。医療・健康分野は重点分野の一つであり、中でも予防医療は一つのキーワードとなっています。
 
2014年夏以降、原油価格が大幅に下落する状況の中、サウジアラビア政府は原油依存型経済からの脱却を目指すことになり、国の戦略的なビジョンと目標として2016年4月、サウジアラビア「ビジョン2030」(以下、サウジ・ビジョン2030)を発表しました。サウジ・ビジョン2030には、医療・健康分野が重要項目の一つに含まれており、具体的には2030年までの達成目標として「サウジアラビア国民の平均寿命を74歳から80歳に引き上げる」ことを掲げています。
 
  
 
 その後、日本・サウジアラビア両政府間の動きとして、2016年9月にムハンマド副皇太子(現皇太子)が来日、2017年3月にはサルマン国王がサウジアラビア国王としては46年ぶりに来日するなど、交流が加速しています。
 
その間「日本・サウジアラビア・ビジョン2030共同グループ」が立ち上がり、「日・サウジ・ビジョン2030」が2017年3月に発表されました。日・サウジ・ビジョン2030は、新しい日サ協力の羅針盤として、両国の政府機関が幅広く参加しており、「医療・健康」が協力分野のひとつとして挙げられています。
 
サウジアラビア政府は医療制度の充実を国家のビジョンの一つに定め、これに対し日本政府が協力体制を構築する等、医療・健康分野における両国政府の関係強化が進んでいます。
 
  
  
次回は、平成29年度の事業で明確になったサウジアラビアの課題を、女性向け健診センター設立事業に関連して、人口動態と疾患状況を説明していきます。

 


投稿者:木内大介│Daisuke KIUCHI
株式会社メディヴァ コンサルタント。東京都出身。京都大学農学部農林生物学科卒業。英国ロバート・ゴードン大学大学院理学療法科修士課程修了。英国公認理学療法士として英国の国立医療機関 (NHS)を中心に、10年間働く。英国の病棟、外来、在宅、スポーツクラブなどの臨床現場を経験し、患者視点の医療、多職種連携、エビデンスに基づく医療の大切さを学ぶ。2014年6月に英国から帰国を機にメディヴァに参画。メディヴァ参画後、国内案件では在宅医療、外来、訪問看護の運営支援、看護小規模多機能の開設支援、海外案件ではアジア、中東地域における健診センター開設支援や各種調査事業に関わる。また英国スターリング大学と協同し、認知症にやさしいデザインの高齢者施設への導入支援にも関わっている。