ヘルスケアの「明日」を語る

イギリスの医療の「夜間休日対応サービス」

2015.06.19

先日イギリスのGP(かかりつけ医)の診療を補完するOut-of-Hours Service(夜間休日対応サービス)を見学させていただきました。在宅だけでなく、電話相談、トリアージ、夜間休日外来も運営している医療機関です。GP達から委託を受け、一つの団体が、ヨークシャー州の西半分をカバーしています。

運営主体は、非営利の民間団体。類似の団体が幾つかあり、コンペで勝ち、この地域でサービス提供しているそうです。

対応する医師、看護師などは全てバイトです。医師の時給は1.5万円ほどと好条件なので、人は集まりやすいのだそう。皆、ネットを通して空いてる時間を登録します。国策も有り、患者情報を共有するシステムが整備されているので、診たことがない患者でも問題なく対応可能します。

患者は、初めに公的な電話番号(119みたいな)に掛け、そこで自動的にトリアージされ、緊急な場合は救命救急へ。全くの軽症は「明日、GPを予約」。それ以外が、Out-of-Hours Serviceへ繋げられます。

繋がると、医師等が電話対応し、看取りや緩和などの場合は、往診部隊(医師と運転手)が出動。患者情報は、mobile PCで持ち出します。

動ける患者には、車が迎えに行き、夜間外来へ連れて行きます。患者負担はなく、全て無料です。

外来は一時間に5、6人診れるが、往診は1人程度なので、外来に行けるのに、「往診してくれ」という患者からの依頼には「医療資源の無駄遣い」だから、応じないそうです。無駄に救命救急に行かないように、というのも含めて、「医療資源の無駄遣い」を省くフローが出来ていました。

モニター、フィードバック方法も相当しっかりしてます。せっかく枠に入ったのに働かない医師(電話を取らない等)は、モニターされて、指導されます。苦情が多い医師も同様です。

始まりは20年ほど前、夜間休日対応を強いられていたGPが悲鳴を上げ、有志で作ったらしいですが、今は経営やシステムの専門家も入り、キチンとマネージされていました。

日本も、平均年齢が60歳を越えようとしている開業医に24時間対応を迫ったり、善意でお互いカバーすることを是とするだけでなく、こういう仕組みの整備が急がれると思います。その時には、医師会や医師だけのグループで運営するのではなく、経営、運営の専門家が入らないと、絶対にうまく行かない、と今回強く感じました。

 

執筆:大石佳能子(株式会社メディヴァ代表取締役)