ヘルスケアの「明日」を語る

イギリスから学ぶ、認知症対応の建築デザイン

2015.06.18

スコットランドの首都エジンバラ近くにある、「認知症対応の建築デザイン」を専門的に手がけるスターリング大学を訪問しました。

「認知症」というと「記憶(力)が失われる」ことに焦点が当たりがちですが、それ以外にも「認識力」や「理論的に考える力」が失われます。またそもそも高齢による目や耳や身体の疾患が発症していることも稀ではありません。

認知症患者さんが抱える問題に配慮した建築デザインを取り入れることにより、症状緩和や不穏状態を抑制できます。スターリング大学では、医療と建築設計の専門家がチームを組んで、エビデンスを積み重ね研究、実践してます。

 

認知症にやさしいデザインの事例

・目が見えにくくなり、認識力が衰えるので、部屋やエレベーターの床の色が廊下に比べて暗いと、穴に落ち込むような感覚に陥り、動けなくなります。床は素材を変えても一続きの色にします。

・高齢者はトイレが近いのですが、場所を忘れてしまうので、すぐ目に付くところに、たくさん作ります。老人ホームの居室でも、寝ている時に目を開けたらすぐ見えるところが良いそうです。

・トイレなどのサインは、認識力が落ちるので、字だけてなく、トイレの絵を掲げます。腰が曲がって、視線が上がらないので、サインは低い位置に。

・便器は、全部白だと外してしまうので、淵を目立つ色に。赤や黄色が、歳を取っても、認識しやすい色です。同じく、風呂の淵も見やすいように色を着けると、転倒予防になります。

・老人ホームの居室のドアが向かい合っていると、自分の居室から出て来た時、自分のところと勘違いして、向かい側のドアを開けて入ってしまい、混乱して暴れることがあります。ドアは向かい合わないよう、ずらして配置します。

・廊下に飾る絵は、患者さんの記憶にとって意味のあるものを。例えば1940年代のその地域の写真などにします。パリのオシャレなカフェの写真とかにすると、混乱を促進します。

・居室の名札も認識できなくなることがあるので、その人の若い頃の写真を飾ります。今の写真にすると、誰だか分からなくなるので、若い頃の写真を。同じく、鏡とかも自分の影が分からず、恐怖から不穏になるので、隠せるようにします。

他にも色々な事例を説明して頂きました。

世界中にスターリング方式を取り入れた認知症対応のホーム、デイサービス、ホスピス、病棟などがあるそうで、スターリングではそれらを認証しています。日本にはまだないそうですが、ぜひ作りたいと思ってます!

執筆:大石佳能子(株式会社メディヴァ代表取締役)