ヘルスケアの「明日」を語る

カナダで考えた、介護職が定着しにくい事情

2014.09.09

一旦終わった夏も再び戻ってきたような日々ですが、皆様いかがお過ご しでしょうか。私は8月の最後の週に息子(高2)の留学先、カナダに行ってきました。

中学校時代の友人たち5人が行くというので、ミニ修学旅行の引率教官のように、皆を引き連れてバンクーバーの街を回りました。子供たちが夏休みの宿題を終わらせるべく一足先に帰国した後は、息子のホームスティ先にしばらく滞在しました。

カナダは、アメリカとは異なり、日本と同様皆保険制度を引いています。ただ、実質的なアクセスは日本のようにフリーではないようで、需要が供給を上回っているようでした。以下は、ホームスティ先のお母さんに聞いた話です。

医療職は、医師の下に、ナースプラクティショナー、レジスタードナース、ナース、ナースアシスタントがいて、それ以外にヘルパーも何層に分かれているようでした。医師の年俸が2500万円、ナースプラクティショナーが1500万円と、ナースも稼ぎの良い職として認識されているようです。ヘルパーの下の層は、「スーパーとかの売り子よりは良い」時給で、自分に適性があると思えば、数か月専門学校に投資して、ステップアップして行くそうです。

息子がスティしている、バンクーバーから2時間も離れた田舎では、介護職もかなり良い生活ができる仕事なのだと思います。基本的には農業地帯で住居費、食費等は安いですし、自転車で15分程度の近くの河には鮭がのぼって来ますし、あまりストレスの掛からない生活が出来そうです。一方、バンクーバーの市内は、近年中国からの移民によって住宅費が吊り上がり、世界で二番目に高くなっています。

もともと香港が中国に返還されるときに渡ってきた広東人が多く、バンクーバーではなく、ホンクーバーと揶揄されることもあるとのこと。昔2500万円くらいだった住宅が1億円を越え、一番高い住宅地の家は70%が中国人の所有になっているらしい、と聞きました。市内では、介護職の給料では、結構生活は厳しそうです。

話は変わりますが、現在厚生労働省の委託を受け、「介護職をどう増やすのか」(流入、定着をどう図るのか)というテーマで調査をしています。その中で、定着しない理由として一般的に言われている「介護職は給料が低いから」というのは、かなり実際とは異なっているのではないか、ということが分かってきました。

給料に関していうと、地方においてはけして見劣りしません。特に税金や地代を払う必要のない社会福祉法人に勤めた場合は、むしろ高い部類に入ります。定着を悪くしているのは、それぞれの組織のマネジメント能力の低さのほうに要因があるように思われました。ただ、マネジメント能力が高い法人も、社福も含めて、都心で競合が多くなると、採用定着に苦労するという傾向はあるようです。

介護業界におけるマネジメント能力の低さは、経営層だけの問題ではなく、現場を仕切るマネジメント層の能力の問題が大きく、零細事業者も多い中、今後改善していくのはかなり難しいことを感じました。本調査は、年末に向けて継続しますが、またまとまった段階で共有させて頂きたいと思います。個別にご質問がある場合は、ご連絡ください。

では、しばらくは暑い日があるようですが、体調を崩されないよう、どうかお気を付けください。

 

執筆:大石佳能子(株式会社メディヴァ代表取締役)