ヘルスケアの「明日」を語る

医療界のワーク・ライフバランス

2011.09.08

株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんとランチしました。

小室淑恵さんは、有名人なのでご存知の方も多いでしょう。ネットエイジから資生堂を経て、社内のビジネスモデルコンテストで女性が働きやすい社会を実現するために、インターネットを利用した育児休業者の職場復帰支援サービス事業のwiwiw(ウィウィ)を立ち上げました。退職後は株式会社ワーク・ライフバランスで休業者が職場にスムーズに復帰することができるようなサポートサービス、armo(アルモ)を提供するとともに、企業内でワーク・ライフバランスを促進する様々な取り組みを支援する講演やコンサルティングを行っています。
 共通の知り合いが、病児保育を手掛けるNPO、フローレンスの駒崎弘樹さんで、たまたまばったり会って立ち話をした時に「紹介して!」と言って、今日のランチが実現しました。

さて、ワーク・ライフバランスの問題と言えば、医療界。昨今、国立大の場合は、医学部生半分は女性という時代を迎え、国家試験の合格者に占める割合も30%を越えていますが、とてもじゃないですがワーク・ライフバランスを保って仕事などできやしない職場環境です。女性の医師だけではなく、男性の医師もまともなライフとのバランスは厳く、また環境が厳しいという意味では看護師さんも同じ状況におかれています。

今日は医療界のワーク・ライフバランスについて、小室さんに聞いてみました。ワーク・ライフバランスへの企業の興味は3・11の震災上がっているとのこと。病院等、医療機関や医療職が集まる学会もワーク・ライフバランスへの関心は高くなっていて、講演の依頼はあるそうです。

ただ、病院の場合はなかなか解決策がない、ことが問題のようです。小室淑恵さんの会社は病院のコンサルティングしておらず、深堀したことがない、というのも一つの要因だとおっしゃっていましたが、医療界の場合、「医師(主治医)がすべてをやらなくてはいけない」という感覚が強くて、なかなかシェアリングができないそうです。また情報化が不完全なので、シェアリングした時に、連携が取りづらいとのこと。
 医療機関の環境や、医師のカルチャーについて、小室さんから質問を受け、私の知っていることを説明しました。医療界では一般的に知られていることでも外部の方にとっては初耳のことも多かったようでした。

ついでに、医療法人社団プラタナス(松原、桜新町アーバンクリニック)の在宅医療部での取り組みについてご説明しました。在宅医療は24時間、365日患者さんへの対応が重要です。これを一人の医師が対応する場合、ワーク・ライフバランスなんてあったものではありません。プラタナスでは、育児中の医師でも、親の介護を抱える医師でも主治医になれるよう、医師同士の連携とシェアリングを実施しています。そのために必要な患者さんの情報連携は、iPhone等のスマートフォーンを介して行っています。

この取り組みは、非常に珍しかったようで、ご興味を持っていただけました。今度、皆さんで見学にいらしていただけるそうです。

もちろん、それだけでは医療界全体の問題は解決できないのですが、プラタナスのような効率化の仕組みが広まれば、すこしずつ医療界におけるワーク・ライフバランスも実現するかもしれません。患者としても、実現することを願ってやみません。

執筆者:大石佳能子(株式会社メディヴァ代表取締役)