ヘルスケアの「明日」を語る

患者力を高める

2009.06.21

先週の土曜日に大学の同窓会で講演をしてきました。同窓会の常で割と高齢の方を中心に百数十名いらっしゃいました。月に数回は講演をしていますが、聴衆は大体、お医者さんか企業の方で、比較的年齢層も近く、医療界のことも理解されているので、今回のように「患者様」の集まりのような場でしゃべることは少なく、却って緊張しました。

1時間半の講演時間を使い、医療界が抱えている問題、その構造的な要因、メディヴァが個々の医療機関で取り組んできた解決策をお話しするとともに、各患者さんが個人として取り組めることのお話しました。

国民皆保険制度がもはやなくなり、医療崩壊が危惧される中、患者さんも今までのような「お国任せ」、「医師任せ」ではなく、「自衛」することが必須となります。「自衛」には、「健康維持」、「医療制度の理解」、「有権者としての活動」の3つがあります。

1)健康維持

まずは「病気になったら治療する」から「病気にならない、早期に発見する」という意識に転換する。そのためには、患者もある程度の医療知識が必要です。
たとえば、男性と女性では、がんが発生し始める年齢が違います。家族歴によっても異なります。自分の疾病のリスクを知って自衛し、早期発見することが重要です。また生活習慣病を抱えていて定期的病院に通っているから、と言っていて安心してはいけません。高血圧で通っていても、糖尿病は見逃されてるかもしれません。通院していても、自分で分の健康管理の意識を持つべきです。

2)医療制度の理解

今の医療制度の元では、誰しも医療難民になるリスクを抱えています。患者もできるだけ医療制度を理解し、ハザマに落ちないように日ごろから地域の医療リソースを知っておく必要があります。たとえば、世田谷区は急性期を過ぎた患者さんを受け入れる療養型の病院はありません。しかし、在宅医療の普及は比較的進んでいます。大田区は精神病院はありません。多摩地域まで患者さんを送ることになります。東京と神奈川では、救急の受け入れ体制は東京の方が良いです。

3)有権者としての活動

医療崩壊が起こっている一番根っこの原因は財政負担にあります。
国民皆保険制度は日本が世界に誇れる良い制度ですが、限界に来ていることも確かです。今後、どういう制度にしていくのかは、医師会や厚生労働省に任せるのではなく、国民が主体的に決めなくてはいけません。有権者として税金の使途として医療を選ぶのか、どんな医療制度を選ぶのかは、今後議論を重ねるべきテーマだと思います。

皆様、かなり熱心に聞いていただき、その後宴会時の議論も盛り上がり、医療が非常に関心が高い分野であることが実感できました。
上記に書いたような「患者さんの自衛力」を私は「患者力」と呼んでいますが今後「患者力」をもった患者さんが育ってほしいものです。メディヴァも「患者力」を育てるために頑張りたいと思っています。

執筆者:大石佳能子(株式会社メディヴァ)